製造業等の工場立地件数990件は過去5年間で最少

 経済産業省は3月27日、工場を建設する目的で2019年(1月~12月)に1000平方メートル以上の用地を取得した製造業、ガス業、熱供給業、電気業の事業者を対象に実施した「工場立地動向調査(速報)」を公表した。その結果、製造業等の工場立地件数は990件(前年比13.3%減)で、過去5年間で最少の件数となるとともに、工場立地面積は1248ヘクタール=1258万平方メートル(同5.5%減)で、昨年と比べ減少となったことが分かった。

 工場立地件数は、リーマンショック以降、1000件前後で推移。立地件数・面積とも、バブル景気時の1989年がピークで、現在は、件数・面積ともにピーク時の4分の1程度となっている。また、工場立地の平均面積は、好景気時には増加する傾向にある。直近5年間(2015~19年)の平均面積は、増減があるものの、1.2ヘクタール前後で推移しており、5年間の平均は1.25ヘクタール。2019年の平均面積は、前年比で8.6%増加した。

 業種別の工場立地の動向をみると、立地件数については、「化学工業」の件数が増加したが、他の業種は件数が減少したため、全体として立地件数は大幅減少となった。立地面積については上位4業種(「食料品製造」、「金属製品製造」、「生産用機械製造」、「輸送用機械製造」)において減少。平均立地面積の5年間の傾向では、「鉄鋼業」の平均立地面積が増加傾向である一方、「非鉄金属製品製造」は減少傾向にある。

 本社と同じ県内に立地する件数(県内立地件数)は、全立地件数の6~7割で推移。立地地点の選定理由も、「本社・自社工場への近接性」を重視する企業は251件でトップとなっており、また、今回は「地価」と「人材・労働力の確保」を選定理由とする回答が2番目に多くなっている。また、立地件数の多い地域では、本社が県内立地をする割合が高く、本社の存在が工場立地に与える影響が強いことがうかがえる。

 都道府県別にみた立地件数は、「静岡県」(76件)、「愛知県」(74件)、「茨城県」(65件)の順。立地面積では、「茨城県」(150ヘクタール)、「静岡県」(94ヘクタール)、「愛知県」(79ヘクタール)の順。工場立地件数は、上位3位に入る自治体は過去10年間で固定されており、工場立地件数が多い地域は固定化。工場立地面積は、上位に入る自治体はばらつきがあり、茨城が比較的上位にあるものの、立地件数ほど、地域が固定化されていない。

 同調査結果は↓

https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200327008/20200327008.html