日本政策金融公庫が発表した「中小企業の雇用・賃金に関する調査」結果(有効回答数4863社)によると、2019年12月における正社員の過不足感は、「不足」と回答した企業割合が52.9%となった。「適正」は39.1%、「過剰」は8.0%。「不足」の割合は、2018年実績(60.8%)から7.9ポイント低下した。業種別にみると、「運送業」(76.7%)、「建設業」(75.1%)、「情報通信業」(67.2%)などで「不足」の割合が高い。
一方、2019年12月における非正社員の過不足感については、「不足」と回答した企業割合が32.5%となり、正社員の不足感よりは大幅に低くなっている。「適正」は60.2%、「過剰」は7.3%。「不足」の割合は、2018年実績(40.0%)から7.5ポイント低下した。業種別にみると、「宿泊・飲食サービス業」(67.1%)、「小売業」(48.6%)、「サービス業」(47.2%)などで「不足」の割合が高い。
人手不足の影響(2つまで回答)についてみると、「売上機会を逸失」(41.4%)と回答した企業割合が最も高く、次いで「残業代、外注費等のコストが増加し、利益が減少」(28.1%)、「特になし」(13.3%)、「納期の長期化、遅延の発生」(11.2%)の順。人手不足への対応(2つまで回答)は、「従業員の多能工化」(44.3%)が最も高く、次いで「業務の一部を外注化」(33.5%)、「残業を増加」(30.8%)の順となっている。
2019年12月の正社員の給与水準をみると、「上昇」と回答した企業割合は54.3%と、2018年実績(57.4%)から3.1ポイント低下したものの、3年連続で給与水準を引き上げた中小企業は半数以上となった。業種別にみると、「製造業」(57.2%)、「水運業」(56.9%)、「宿泊・飲食サービス業」(56.7%)などで「上昇」の割合が高い。2020年見通しをみると、「上昇」と回答した企業割合は47.9%となった。
正社員の給与水準上昇の背景についてみると、「自社の業績が改善」と回答した企業割合が28.8%と最も高く、次いで「採用が困難」(23.8%)、「最低賃金の動向」(19.6%)の順となっている。業種別にみると、「自社の業績が改善」と回答した企業割合は、「業務用機械」(66.7%)、「はん用機械」(45.1%)などで高い。「採用が困難」は、「水運業」(51.6%)、「宿泊・飲食サービス業」(39.3%)などで高い。
同調査結果は↓