日本企業の中国進出1万3646社、「製造業」が約4割

 中国国内での新型コロナウイルス感染拡大に伴い、中国国内での工場の稼働停止や店舗休止などの影響が深刻化している。帝国データバンクが発表した「日本企業の中国進出動向調査」結果によると、中国に進出する日本企業は1万3646 社判明した。2019年の調査時点から39社減少したほか、過去の調査で最も進出社数が多かった2012年(1万4394社)からは748社減少するなど、中国に進出する日本企業数は引き続き減少した。

 企業規模別にみると、年売上高が「10~100億円未満」の企業が38.6%を占めて最多。年売上高が「1~10億円未満」(31.2%)などと合わせると、年商100億円未満の企業が全体の7割超を占めており、英国などの主要先進国への進出動向とは対照的となる。また2019年とは異なり、売上高の小さい中小企業で進出が増加したのに対し、中堅~大企業では減少に転じた点が特徴となっている。

 業種別では、最も多かったのは「製造業」で、全体の40.7%を占める。なかでも、旋盤やフライス盤、研削盤などを製造する「金属工作・加工機械製造」などを含む一般機械器具分野で最も多いほか、鉄鋼・非鉄金属製造、コンデンサやコネクタ、プリント回路などを製造する「電子機器部品製造」を含む電気機械器具製造で特に多い。ただ、製造業全体では2019年から2.4%減少、最も多かった2016年からも約5%減少した。

 次いで多いのが「卸売業」で、全体の33.0%を占め、2019年からは0.2%増加。なかでも「産業用電気機械器具卸」などを含む機械器具分野が最も多く占めるほか、繊維・衣服類卸分野、飲食料品卸分野などでも多い。このほか、「サービス業」(13.4%)が前年から8.5%増加。「不動産業」(1.4%)も10.5%増加した。「小売業」(3.2%)は6.1%の減少。「運輸・通信業」(2.9%)、「金融・保険業」(2.6%)でも、2019年から減少に転じた。

 中国への進出地域では、最多地域は中国東部の「華東地区」で73.1%を占める。なかでも「上海市」は50.9%と中国全土の行政省(市)別で最多。中国全土で3番目に多い「江蘇省」(15.3%)などと合わせ、進出する日本企業の多くが上海経済圏に集積する。次に多いのは「中南地区」の18.2%で、中国全土で2番目に多い「広東省」(16.4%)のほか、多数の自動車産業が集積する武漢市を含む「湖北省」(2.0%)で進出企業が多くみられた。

 このほか、中国全土で5番目に多い北京市などを含む「華北地区」は14.6%、「東北地区」は12.0%。総じて、港湾都市など輸送インフラが揃う中国沿岸部の各省で日本企業が集中する構図。日本企業の対中進出では、従来から総じて輸出中心のコストダウン戦略が重視されたことから、日本国内との生産・物流ネットワークの構築面で日本から地理的距離が離れない沿岸部を進出先とした日本企業が多かったことも要因の一つとみられる。

 同調査結果は↓

http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p200208.pdf