玩具業界全体は伸長傾向だが、業界内は二極化が進行

 東京商工リサーチが23日に発表した「玩具業界の業績動向調査」結果によると、489社の売上高は、最新期(2018年8月期~2019年7月期)まで2期連続の増収だった。調査は、同社の企業データベース(379万社)のうち、主業種が玩具・人形製造業、玩具卸売業、玩具小売業)で2018年8月期~2019年7月期を最新期とし、3期連続で売上高と当期純利益を比較可能な「玩具業者」489社を抽出し、分析したもの。

 前期(2017年8月期~2018年7月期)は、3兆82億円(前年同期比28.7%増)と大幅増収で、最新期の伸びは大きく鈍化したが、3兆361億円(同0.9%増)を確保した。当期純利益は、好調を持続。前期は2527億円(同147.0%増)、最新期も3353億円(同32.6%増)と大幅に伸びた。少子化などで逆風下にあるが、「玩具業界」は売上、当期純利益ともに健闘している。

 売上高伸長率は、「0~5%未満」が最多で全体の4割を占めた。ただし、次点は「▲10%未満」で18.4%。さらに、「10%以上」が12.2%、「▲5~0%未満」が12.0%と続く。489社のうち、増収企業は30.8%、減収企業は41.3%、横ばいは27.8%だった。成熟市場に入った「玩具業界」で、小幅ながらも売上を伸ばす企業がある一方、業績が低迷する企業も混在し、業界内の二極化は拡大している。

 玩具業界を牽引しているのは製造業だ。前期は2兆2126億円(前年同期比41.0%増)と急増。この要因の1つには、任天堂の家庭用ゲーム機「Nintendo Switch」(2017年3月3日発売)やソフト販売が好調だったことがある。卸売業は最新期5875億円(同2.2%増)で、製造業より伸びは弱いが、2期連続で増収を確保。一方、小売業は一進一退で苦戦が続いている。最新期は2120億円(同4.0%減)で、売上高は減少に転じた。

 資本金別では、製造業と卸売業は「1000万~5000万円未満」が最も多く、資本金1000万円以上は製造業が約6割(構成比58.4%)、卸売業は7割(同74.2%)に達する。一方、小売業は「100万~1000万円未満」が最多の構成比33.8%で、資本金1000万円未満(個人企業他含む)は6割(構成比63.1%)を占めた。小・零細企業が中心の小売業と、中堅から大手を中心にした製造業・卸売業と資本金でも特色がみられた。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20191223_01.html