日本経団連が発表した「2018年度福利厚生費調査」結果(有効回答数625社)によると、調査企業が2019年3月までの1年間(2018年度)に負担した福利厚生費は、従業員1人当たり1ヵ月平均11万3556円で、前年度から4.8%増加し、過去最高額となったことが分かった。同調査は、1995年度から毎年実施し、今回で63回目。回答企業の労務構成は、1社当たり平均従業員数が4644人、平均年齢が42.1歳だった。
調査結果によると、福利厚生費のうち、社会保険料等の企業拠出分である法定福利費は、前年度比3.9%増の8万8188円と、同じく過去最高額となった。企業が任意に行う福祉施策に要する費用である法定外福利費は、同8.2%増の2万5369円と、2万5千円台を回復。月例給与と賞与・一時金を含めた現金給与総額(57万3765円)に対する比率は、福利厚生費全体が19.8%、このうち、法定福利費は15.4%、法定外福利費は4.4%となった。
法定福利費のうち法定福利費は、現金給与総額の伸び(57万3765円、前年度比2.7%増)などが影響して増加。内訳をみると、「健康保険・介護保険」は3万2429円(前年度比4.2%増)、「厚生年金保険」は4万8989円(同3.4%増)。労災保険料率の見直しのあった雇用保険・労災保険は、現金給与総額の伸びを下回り、5184円(同1.2%増)となり、料率改定のあった子ども・子育て拠出金は、1508円(同27.6%増)と大きく増加した。
法定外福利費は多くの項目で増加。その中でも文化・体育・レクリエーションの「活動への補助」が1361円(同28.0%増)と大幅に増加した。保養所などの費用である「施設・運営」は763円(同7.3%増)と、法定外福利費総額の伸びとほぼ同じであり、運動会などの社内レク活動の高まりの影響を受け、「活動への補助」の費用が2011年度に「施設・運営」を逆転して以降、その差は最大となった。
なお、「通勤手当・通勤費」は従業員1人平均9002円で前年度と比べ▲0.3%減、「退職金(退職一時金と退職年金の合計額)」は4万6251円、同0.3%増だった。また、「カフェテリアプラン消化ポイント総額」は円換算で4881円となり、利用実績が分かる導入企業は104社だった。カフェテリアプランとは、従業員に一定の福利厚生利用枠と給付の選択肢を与え、従業員が個々の必要性に応じて給付を選択する仕組み。
同調査結果の概要は↓