矢野経済研究所が発表した「国内呉服(きもの)市場調査」結果によると、2018年の呉服小売市場規模は前年比▲1.1%の2681億円と推計した。少子化の影響や婚姻組数減少のなか、消費者のきもの離れもあり、国内の呉服市場は厳しい市場環境下にある。主要販売チャネルである一般呉服店やチェーン専門店では、引き続きこうした影響を受け微減傾向にある。一方で、通信販売とリサイクル販売は好調に推移している。
こうしたなか、小売業各社では通信販売への積極的な取組みがみられ、卸売業でも通販事業に着手する企業が出ている。また、リサイクル販売ではアンティーク柄を始めアパレルファッションと同等の感覚で着用されるなど、消費者需要が拡がりをみせている。七五三や成人式などの儀礼的な慶事におけるきものレンタル分野に、昨今では写真スタジオ、美容室運営企業、ブライダルプロデュース企業などの異業種企業が参入し、競争が激化している。
写真撮影が主業である写真スタジオがきものレンタルを組み合わせたサービスを提供する一方で、きもの販売を主とする呉服企業も自社に撮影スタジオを備え、きものレンタルと着付け、写真撮影・ヘアメイクを組み合わせるなど、異業種からの参入企業と呉服企業の双方において、きものレンタルと付随する各種サービスを複合したビジネスが展開されるようになっている。(本調査における呉服小売市場規模にはきものレンタルは含まない)
きもの販売の主要チャネルである一般呉服店やチェーン専門店では引き続き少子化や婚姻組数減少が影響し、厳しい市況になるとみられることから、2019年の呉服小売市場規模は前年比▲0.6%の2664億円を予測する。こうしたなか、訪日外国人観光客に定着してきている観光用のきものレンタルや、小売業・卸売企業共に展開を強化するインターネット通販事業は好調であり、今後も安定成長が期待されている。