関税法違反、不正薬物の押収量が上半期で1.5トン超

 財務省が公表した2019年上半期の全国の税関における関税法違反事件の取締り状況によると、不正薬物全体の摘発件数は571件(前年同期比41%増)、押収量は約1581キログラム(同約2.7倍)となった。押収量は、上半期で既に1.5トンを超え、特に覚醒剤は史上初めて“4年連続の1トン超え”が確実となる大量摘発となった。この様に、我が国への不正薬物の流入は引き続き拡大傾向にあり、極めて深刻な状況となっている。

 覚醒剤の摘発件数は207件(前年同期比約3倍)、押収量は約1460キログラム(同約2.8倍)となり、既に前年分(摘発件数171件、押収量約1156キログラム)を上回ったほか、史上初めて 4年連続1トン超えが確実となった。密輸形態別にみると、全体の摘発件数の約半数を航空機旅客等が占め、押収量についても前年同期比約3倍と大幅に増加。また、商業貨物及び国際郵便物は、摘発件数が増加したものの、商業貨物の押収量は減少した。

 密輸仕出地別では、摘発件数ではアジア地域(アジア各国、中国(含香港マカオ)、台湾)が45%と半数近くを占める。これに北米(31%)と欧州(11%)を加えるとほぼ9割となる。押収量では、アジア地域が13%、北米地域が13%、その他が70%を占める。その他が70%を占めるのは、鳥島南西方沖において洋上取引された約1トンの仕出地が不明のため。アジア地域では、特にタイ、マレーシアの増加が顕著となった。

 大麻の摘発件数は137件(前年同期比43%増)となり、押収量は約53キログラム(同6%増)とわずかに増加。摘発件数については、2015年以降、5年連続100件超えが確実となった。大麻のうち、大麻樹脂等(大麻樹脂のほか、大麻リキッド・大麻菓子等の大麻製品を含む)は、摘発件数(75件(前年同期比約2.8倍))、押収量(約15kg(同約2倍))ともに大幅に増加した。

 麻薬(ヘロイン、コカイン、MDMA等)の摘発件数は135件(前年同期比27%増)、押収量は約55キログラム(同約2.9倍)と摘発件数・押収量ともに増加。コカインの摘発件数は24件(同23%減)と減少したものの、押収量は約40キログラム(同約2.5倍)と大幅に増加した。MDMAの摘発件数は48件(同85%増)、押収量は約2万7千錠(同約11倍)と摘発件数・押収量ともに大幅に増加した。

 金地金密輸入事犯の摘発件数は9件(前年同期比99%減)、押収量は約146キログラム(同92%減)と、摘発件数・押収量ともに大幅に減少した。事例をみると、2017年2月、シンガポールから到着した日本人男性旅客2名より金地金計14キログラムを摘発し、更に、その後の犯則調査により、共犯者として日本人男性1名を認め、計3名を関税法違反で告発したものがある(2019年3月・神戸税関)。

 この件は↓https://www.mof.go.jp/customs_tariff/trade/safe_society/mitsuyu/cy2019/ka20190925a.htm