2019年基準地価、地方圏でも商業地が28年ぶり上昇

 国土交通省が19日に公表した2019年地価調査結果によると、2万1540地点を対象に実施された2019年7月1日時点の基準地価は、全国の全用途平均が前年比+0.4%(前年+0.1%)となり、1991年以来27年ぶりに上昇に転じた前年に引き続き2年連続の上昇となった。商業地は+1.7%(同+1.1%)で、3年連続の上昇。全国の住宅地は▲0.1%(同▲0.3%)と、28年連続の下落となったが、下落幅は10年連続で縮小した。

 三大都市圏は、全用途平均、住宅地・商業地・工業地のいずれの用途でも、各圏域において上昇が継続し、上昇基調を強めている。地方圏は、商業地が+0.3%と1991年以来28年ぶりに上昇、工業地も+0.4%と1992年以来27年ぶりに上昇に転じた。全用途平均・住宅地は下落幅の縮小傾向が継続している。地方圏のうち、地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)では、いずれの用途でも上昇が継続し、上昇基調を強めている。

 このように、全国的に地価の回復傾向が広がっているが、この背景として、景気回復、雇用・所得環境の改善、低金利環境の下で、(1)交通利便性等に優れた地域を中心に住宅需要が堅調であること、(2)オフィス市場の活況、外国人観光客等の増加による店舗・ホテル需要の高まりや再開発事業等の進展を背景に需要が拡大していること、などの要因が挙げられている。

 住宅地は、雇用所得環境の改善が続くなか、交通利便性や住環境の優れた地域を中心に需要が堅調だ。圏域別にみると、東京圏の平均変動率は+1.1と6年連続の上昇となり、上昇幅も3年連続で拡大。大阪圏は+0.3%と2年連続の上昇となり、上昇幅も昨年より拡大。名古屋圏は+1.0%と7年連続の上昇となり、上昇幅も3年連続で拡大。地方圏は▲0.5%と下落幅の縮小傾向が継続している。

 商業地は、景気回復に伴い高水準の企業収益が続くなか、働き方改革等に対応したオフィス環境の改善のための拡張・移転の動きも加わり、主要都市ではオフィスビルに対する需要が堅調であり、空室率の低下・賃料の上昇がみられる。また、外国人観光客を始めとする国内外からの訪問客が増加している地域、交通インフラの整備や再開発事業等の進展により利便性・繁華性の向上がみられる地域などでは店舗、ホテル等の進出意欲が旺盛である。

 商業地を圏域別にみると、東京圏は+4.9%と7年連続の上昇、上昇幅も6年連続で拡大。大阪圏は+6.8%と7年連続の上昇、上昇幅も6年連続で拡大。名古屋圏は+3.8%と7年連続の上昇、上昇幅も6年連続で拡大。地方圏は+0.3%と1991年以来28年ぶりに上昇に転じた。地方圏のうち、地方四市の平均変動率は+10.3と7年連続の上昇、上昇幅も6年連続で拡大し、三大都市圏平均(+5.2%)を大きく上回っている。

 2019年地価調査結果は↓

http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo04_hh_000164.html