宝くじの当選金、法人が受け取る場合は全額課税対象

 非課税所得とは、社会政策的立場や課税技術上の要請から所得税を課さないこととされている所得で、給与所得者の出張旅費や通勤手当(非課税限度額内)などが該当する。非課税所得は全ての納税義務者に適用され、その適用を受けるためのなんらの手続きも必要とせず、当然に課税所得から除外されるものである。非課税所得は、所得税法や租税特別措置法に定められているが、その他の法律にも数多く定められている。

 周知のように、年末ジャンボやロト6、ミニロトなどの宝くじの当選金は非課税だが、これは「当せん金付証票法」において、個人が受け取る当選金は非課税と定められている。所得税だけでなく住民税も非課税なので、翌年の住民税に影響しない。ただし、受け取った当選金から贈与税の基礎控除(110万円)を超える金額を贈与した場合や、当選発表後にその宝くじを他人に贈与した場合は、当選金額が贈与税の対象となる。

 また、宝くじを仲間と共同で購入するグループ買いなどがよくみられるが、こうしたケースで、代表者が当選金全額を一旦受け取り、後で共同購入したメンバー各人に分配すると、贈与税の対象となるので注意が必要だ。このようなケースでは、当選金を購入者全員で受け取り、受け取った全員が「当選証明書」をもらっておくか、代表者が委任状を用意するなどの事前準備をすれば、贈与税は課税されない。

 このように、個人が受け取る宝くじの当選金は非課税で確定申告の必要もないが、宝くじを法人で購入した場合は異なる。法人が受け取る当選金は、益金に算入しなければならず、全額法人税の課税対象となることはあまり知られていないようだ。ただし、消費税に関しては、対価性がないので課税の対象とはならない。税金面で得をするためには、プライベートで宝くじを買うほうが無難のようだ。

 なお、宝くじの当選金と同じような収入として、懸賞やクイズ番組の賞金、競馬や競輪の払戻金などがあるが、これらは「一時所得」として課税の対象となる。また、税法以外のその他の法律の規定により非課税とされるものでは、「スポーツ振興投票の実施等に関する法律(いわゆるサッカーくじ法)」によるサッカーくじtotoの払戻金や、「国民健康保険法」による国民健康保険の保険給付などがある。