東京商工リサーチの調査によると、国内銀行81行の2019年3月期の平均年間給与(基本給与+賞与・基準外賃金)は609万5000円(中央値613万5000円)だった。前年同期から0.2%(1万8000円)増加し、2016年3月期以来、3年ぶりに前年同期を上回った。同調査は国内銀行の有価証券報告書などで、従業員数、平均年間給与、平均年齢が判明した81行(大手行6行、地方銀行48行、第二地銀27行)を対象に集計、分析したもの。
業態別では、大手行(759万7000円)と第二地銀(554万9000円)で平均給与が上昇したが、唯一、地方銀行(621万4000円)は前年同期を下回った。平均給与のトップは、「東京スター銀行」(926万6000円)で、6年ぶりにトップに返り咲いた。2位は「三井住友銀行」(820万3000円)、3位は「あおぞら銀行」(803万7000円)。2015年3月期からトップ3の常連だった「スルガ銀行」(729万2000円)は8位にダウンした。
81行のうち、前年同期より平均給与が増加したのは46行(構成比56.7%)で、6割弱だった。銀行は低金利競争で収益環境が悪化し、また、フィンテックの浸透やAI化などで人員削減が進んでいる。こうした状況も背景に、内定辞退者の増加や若手行員の退職が目立つとの声も聞かれるようになった。このため、人材確保のための給与アップだけでなく、福利厚生などの待遇改善を急いでいることを反映しているとみられている。
大手行6行のうち3行、地方銀行48行のうち24行、第二地銀27行のうち19行の合計46行(前年同期18行)で、平均給与が増加した。81行の平均給与は2007年3月期651万5000円(中央値657万円)をピークに、その後は減少をたどり、2013年3月期に増加に転じた。しかし、2016年2月に日銀がマイナス金利を導入後、低金利競争に入り、2017年3月期から再び前年同期を下回ったが、2019年3月期は3年ぶりに増加した。
業態別では、大手行が前年同期比2万円増(759万7000円)、第二地銀が同8万円増(554万9000円)と増加。一方、地方銀行は同1万8000円減(621万4000円)で、唯一の減少となった。大手行と比較すると、地方銀行は138万3000円(前年同期134万5000円)、第二地銀は204万8000円(同210万8000円)の差があった。地方銀行は3万8000円拡大したが、第二地銀は6万円縮小した。
同調査結果は↓