中小企業が直面する事業承継の課題と実態~大商

 事業承継が喫緊の経営課題の1つとして注目されるなか、大阪商工会議所では、2018年度から2020年度までの3ヵ年で中小企業1万社に対し支援を行う「事業承継1万社支援アクション」を展開している。このほど、「事業承継1万社支援アクション」における初年度の支援実績と、事業承継の専門家 (M&A支援等に詳しい金融機関OBや中小企業診断士等) が見た現場の実例をもとに課題と実態についてレポートをとりまとめた。

 それによると、「事業承継1万社支援アクション」は順調に進捗。目標とする1万社支援のうち、3475社に対し、セミナー等を通じて経営者に事業承継に取り組むための「気付き」の機会などを提供した。レポートでは、経営者・後継者が直面する課題と実態として10項目を取り上げ、実例をもとに解説、また、8個の具体的解決事例も掲載。個別支援から見えてきた事業承継を円滑に進めるためのポイントもまとめている。

 現場の専門家が相談を受ける中で最も大変だと感じているのは「人」の問題。やはり後継者がいないという悩みを持つ経営者が多い。後継者を見つけている経営者は全体(60歳以上の経営者)の4割にとどまる。「娘は医者になっており会社を継ぐ気はない」、「長男が会社に入っているが会社経営は難しい」、「町工場で技術はいいものをもっているが会社経営は難しい」などの声が相談者から挙がっている。

 こうした後継者不在の中小企業にとってM&Aは有効な出口戦略であることを指摘。後継者不在をM&Aの実行で解決した個別事例も掲載している。ほかには、経営を引き継ぐための資金調達や金融機関からの借入金の個人保証、スムーズに事業承継が完了した会社は伸びているという実態、後継者不在企業のM&Aは多種多様な形で成約していることなどについて、実例を踏まえながら説明している。

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http://www.osaka.cci.or.jp/Chousa_Kenkyuu_Iken/press/190717jk.pdf