伸び幅が大きい45~54歳の中高年者の転職者数

 内閣府が24日に発表した今週の指標「中年層における転職者の動向について」によると、人手不足感が四半世紀ぶりの水準となり、企業が中途採用を積極化していることなどを背景に、転職者数は2011年以降8年連続で増加している。近年の転職者数の動向を年齢別にみると、中高年者の伸びが大きく、特に45~54歳の伸び幅が大きい。転職者比率でみても、45歳以上はリーマンショック前ピーク水準であった2007年を超えている。

 中年層(45~54歳)が前職を離職した理由の割合をみると、「会社倒産・人員整理など」(2013年25.0%→2018年20.0%)という会社都合の理由は減少し、「より良い条件の仕事を探す」(2013年30.0%→2018年36.4%)という自己都合の理由が増加しており、景気回復が続くなか、雇用情勢が着実に改善し、より良い待遇を求めるという前向きな理由で転職した人が増加していることがうかがえる。

 実際に、転職後の賃金が増加した人の割合をみると、足下の2018年の水準は36.9%でリーマンショック前のピーク水準34.7%を超えている。中年層の賃金変動状況をみるために、増加した割合から減少した割合を引いた賃金変動DIで確認すると、2013年~2018年平均は2004年~2012年平均より高い水準となっており、特に45~49歳は増加した割合のほうが大きくなりプラスとなっている。

 中年層において職種別に賃金の変動状況をみると、「専門職・技術職」や「管理職」に就いた人は転職後の賃金減少割合が他職種と比べて低く、同水準又は増加する割合が高い。民間の転職求人倍率は、「技術系」や「専門職」、「企画・管理系」の倍率が高く、専門性の高い人材やマネジメント能力のある人材に対する需要の強まりが、転職後の賃金減少を緩和し、中年層においても転職市場に出やすい一因となっている可能性がある。

 なお、中年層の入職経路では、民間の転職市場も重要な転職ルートの一つとなっており、転職市場におけるマッチング機能の多様化が進んでいる。以上のように、このところの転職市場は、若年層だけでなく中年層にも、より良い待遇を求めて転職活動に出る動きが広がっている。転職希望者とそうした人材を求める企業のマッチングが、様々なツールによって円滑になり、幾つになっても希望する就業を可能とする環境整備が重要と指摘している。

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https://www5.cao.go.jp/keizai3/shihyo/2019/0624/1223.pdf