選択可能な永年勤続者表彰の記念品は給与課税

 永年勤続者を表彰する企業は多いが、その際、記念品を贈呈したり、旅行や観劇などに招待することは一般的であり、これらの従業員に対する経済的利益は給与として課税しなくてもいいことになっている。記念品というと置物とか飾り物など定番な記念品が多いが、最近は、表彰対象者の従業員に一定金額の範囲内で自由に品物を選択させ、その希望の品物を購入の上、永年勤続者表彰記念品として支給するケースがみられる。

 こうしたケースでは、記念品の金額の多寡にかかわらず、その品物の価格が給与等として課税されることになるので注意したい。永年勤続者の表彰のための記念品については、その支給が社会一般的に行われているものであり、また、その記念品は、通常、(1)市場への売却性、換金性がなく、(2)選択性も乏しく、(3)その金額も多額となるものでないことなどから、強いて課税しないこととされている。

 対して、現物に代えて支給する金銭については、たとえ永年勤続者に対するものであっても、非課税として取り扱うことはしないとされている。そこで、記念品を自由に選択できるとなると、会社から支給された金銭でその品物を購入した場合と同様の効果をもたらすものと考えられるから、その品物の価格は現物給与として課税することになり、非課税として取り扱っている永年勤続者の記念品には該当しないことになる。

 また、商品券などの金券を記念品として支給された場合も、市場への売却性、換金性があり、ほとんど金銭での支給と変わらないことから、現物給与として課税されることになる。ちなみに、旅行券を支給した場合は、1年以内に旅行に行き、旅行日や旅行先、支払金額を記載した報告書と旅行先等を確認できる資料を添付して会社に提出すれば、課税の対象外として取り扱うことができる。

 なお、通常の永年勤続者に対する表彰記念品についても、無制限に非課税となるわけではなく、上記の要件以外にも、その表彰がおおむね10年以上の勤務年数の者を対象とし、かつ、2回以上表彰を受ける者については、おおむね5年以上の間隔をおいて行われるものという基準がある。永年勤続者に記念品を支給するにあたっては、以上の点に充分留意して支給することが必要になる。