18年は不正薬物の密輸摘発が増加・多様化~財務省

 財務省は、2018年の1年間に全国の税関が空港や港湾等における不正薬物の密輸入その他の関税法違反事件の取締り実績を公表した。不正薬物全体の摘発件数は886件(前年比13%増)、押収量は約1493キログラム(同8%増)と、3年連続で1トンを超えた。摘発件数及び押収量とも過去3番目と、依然として深刻な状況にある。不正薬物とは、覚醒剤、大麻、あへん、麻薬(ヘロイン、コカイン、MDMA等)、向精神薬及び指定薬物をいう。

 覚醒剤の摘発件数は171件(前年比13%増)、押収量は約1156キログラム(同0.3%減)となり、史上初めて3年連続1トン超えとなった。押収した覚醒剤は、薬物乱用者の通常使用量で約3853万回分、末端価格にして約693億6000万円に相当する。密輸形態別にみると、航空機旅客等は摘発件数・押収量ともにやや減少。その一方で、商業貨物及び国際郵便物による摘発件数は増加し、商業貨物は押収量も2倍以上に伸びた。

 大麻は近年、急増傾向が続いているが、2018年の摘発件数は230件(前年比35%増)となり、4年連続で100件超えが続いている。押収量も約156キログラム(同20%増)と、急増した前年を更に上回る増加ぶり。例えば、アメリカの国際郵便物から大麻計19件・約28キログラムを摘発。航空機旅客では過去最大となる事犯(カナダから到着した中国人旅客の携帯品から大麻約92キログラム)を摘発した。

 麻薬は、全体の摘発件数が229件(前年比約1.4倍)、押収量は約165キログラム(同約2倍)と増加。このうち、コカインの摘発件数は56件(同約2.3倍)、押収量は約152キログラム(同約15.5倍)と急増し、押収量は過去最高となった。MDMAの押収量は、約9キログラム(同約80.4倍)及び約2万1千錠(同約13.7倍)と激増している(摘発件数は59件(同約1.2倍))。

 そのほか、指定薬物の摘発件数は218件(前年比21%減)とやや減少したが、押収量は約16キログラム(同約1.9倍)と急増。指定薬物とは、中枢神経系の興奮・抑制・幻覚の作用を有する蓋然性が高く、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生する おそれがあるとして、厚生労働大臣が指定する薬物をいう。また、銃砲の摘発件数は10件(同約1.4倍)、押収量は12丁(同約37%減)となった。

 同関税法違反事件の取締り状況は↓

https://www.mof.go.jp/customs_tariff/trade/safe_society/mitsuyu/cy2018/index.htm