実質成長率、2019年度0.8%、20年度0.4%と予測

 信金中央金庫が発表した経済見通しによると、2018年10~12月の実質GDPは前期比0.3%増(年率1.4%増)と再びプラス成長に転じた。自然災害で押し下げられた7~9月からの反動増を主因に、個人消費は前期比0.6%増、設備投資は2.4%増とプラスに転じた。ただ、世界的なIT需要の減速を受けて、輸出の戻りは弱く、輸出から輸入を差し引いた純輸出(外需)は成長率を年率で1.2 ポイント押し下げた。

 2018年10~12月の成長率はプラスに転じたが、景気回復をけん引してきた輸出は減速。良好な雇用環境を反映して個人消費は底堅さを維持も、世界経済の先行き不安から投資マインドは慎重化しており、当面の景気は足踏み状態が続くとみられる。ただ、IT需要の減速は循環的な動きにとどまる可能性が高く、輸出は年後半にかけて持ち直そう。今年10月以降は消費税増税が下押し要因となるものの、景気は回復基調を維持すると予想される。

 2018年度の実質成長率は0.5%と前回予測(0.7%)から下方修正。内需は底堅く推移しているが、輸出の下振れが成長率の押下げ要因となる。19年度は、下期にかけてIT関連需要の持ち直しなどから、輸出が回復の勢いを取り戻すと予想。貿易摩擦の激化がリスク要因だが、世界貿易への影響は現時点では軽微と想定。人手不足を背景とした省力化投資へのニーズは強く、設備投資は前年比1.8%増と底堅く推移すると予測する。

 一方、2019年10月に予定されている消費税増税が家計部門の下押し要因となるが、景気は回復基調を維持するとの見方に変更はなく、実質成長率は0.8%と前回予測を据え置いた。増税時期が年度半ばとなるため、19年度全体では駆込み需要とその反動減はニュートラルと考えられるが、下期は増税の影響で実質所得が押し下げられるが、落込みは一時的にとどまろう。19年度の実質個人消費は0.4%増とプラスを維持すると予測した。

 2020年度は、東京オリンピック(7月24日~8月9日)に向けたインフラ投資や関連消費が上期の景気を押し上げると予想されるが、年度下期はオリンピック効果の反動減や前年度からの消費税対策の一巡などで景気に下押し圧力がかかるとみられる。20年10~12月と21年1~3月は2四半期連続のマイナス成長となり、20年度の実質成長率は0.4%に鈍化すると予測している。

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