2018年「不適切な会計・経理」開示上場企業は54社

 東京商工リサーチがこのほど発表した「2018年全上場企業の不適切な会計・経理の開示企業調査」結果によると、2018年(1~12月)に「不適切な会計・経理」を開示した上場企業は54社で、2017年の53社を1社上回った(前年比1.8%増)。不適切会計の開示企業は、調査を開始した2008年の25社から2016年は過去最多の57社と9年間で2.2倍に増え、2018年は過去2番目となった。

 適正会計に対するコンプライアンス意識が求められるなか、不適切会計は高止まりが続く。2015年5月に発覚した東芝の不適切会計問題が表面化して以降、開示資料の信頼性確保や企業のガバナンス強化の取組みを求める声は強まっている。上場企業は、国内市場の成熟化で各企業は売上拡大を求め、海外展開を進めているが、拡大する営業網の中でグループ各社へのガバナンスが行き届かず、不適切会計の開示に追い込まれる企業は少なくない。

 内容別では、経理や会計処理ミスなどの「誤り」が22社(構成比40.7%)で最多だった。次いで、「架空売上の計上」や「水増し発注」など、営業ノルマの達成を推測させる「粉飾」が21社(同38.8%)と続く。また、子会社・関係会社の役員や従業員による着服横領は11社(同20.3%)で、「会社資金の私的流用」、「商品の不正転売」など、個人の不祥事についても監査法人が厳格な監査を求めた結果が表れているようだ。

 発生当事者別では、最多は「会社」の26社(構成比48.1%)で、2017年の21社から5社増えた。会計処理手続きの誤りや事業部門で売上の前倒し計上などのケースがあった。「子会社・関係会社」は15社(同27.7%)で、子会社による売上原価の過少計上や架空取引など、見せかけの売上増や利益捻出のための不正経理が目立つ。「会社」と「子会社・関係会社」を合わせると41社で、社数全体の75.9%と多数を占めた。

 市場別では、「東証1部」が26社(構成比48.1%)で最も多かった。「ジャスダック」が14社(同25.9%)、「東証2部」が8社(同14.8%)と続く。2013年までは新興市場が目立ったが、2015年から国内外に子会社や関連会社を多く展開する東証1部の増加が目立っている。産業別では、「製造業」の17社(同31.4%)が最も多かった。製造業は、国内外の子会社、関連会社による製造や販売管理の体制不備に起因するものが多い。

 同調査結果は↓

http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20190124_02.html