帝国データバンクが発表した「民事再生法の弁済率調査」結果によると、2000年4月に施行された民事再生法は、累計で1万544件となった(2018年11月末集計時点)。リーマン・ショックが起こった2008年には、前年から214件増の884件を記録。その後は再び減少傾向が続き、昨年はピーク時の約4分の1となる230件となっていたが、今年は11月時点で234件と昨年を既に上回り、10年ぶりの前年比増となった。
2017年の1年間に認可決定を受けた企業のうち、一般再生債権の弁済率が判明した32社を負債額別にみると、「20~30億円未満」の弁済率が26.4%と最も高く、次いで「10~20億円未満」の26.2%、「30~50 億円未満」の10.2%と続いた。また、2017年に弁済率が判明した32社の平均弁済率は約15.3%となった。2009年調査時の平均弁済率(12.4%)は上回ったものの、2001年調査時の平均弁済率(24.2%)は下回った。
判明した32社の弁済率分布をみると、「10%未満」が17件(構成比53.1%)で最多となった。以下、「10~30%未満」の12件(同37.5%)が続き、30%未満で全体の9割を占めた。10%未満のうち1%以下は8件と判明した。判明した32社を業種別にみると、最も高い弁済率は「製造業」の28.7%で唯一の20%超えとなった。以下、「小売業」の18.8%、「卸売業」の13.1%と続いた。
一般再生債権の弁済が完了するまでの期間が判明した33社をみると、「1年未満」の一括弁済が20件(構成比60.6%)で最多、次いで、法律上の最長弁済期間となる「10年」が5社(構成比15.2%)となった。2001年調査時には全体の59.5%が、2009年調査時は全体の35.9%が10年の再生計画となっていたが、今回の調査では10年の再生計画となったのは5社で20%に届かなかった。
また、「1年未満」は、2001年調査時では1割未満だったが、2009年調査時には約4割、今回は約6割となるなど比率が高まっている。こうした動きは、弁済率が低くなっても短期間での弁済完了を望む債権者の意向が強く反映されたものと推察。また、事業の一部・全部を別会社に譲渡したうえ旧会社を清算させる“清算型”民事再生法の活用が散見されることも、弁済完了までの期間を1年未満とする比率が高まった要因ともいえる。
少額弁済額が判明した32社をみると、「10~30万円未満」が15件(構成比46.9%)で最も多く、このうち10万円が11社と構成比34.4%に達した。同11社の内訳をみると、負債額は50億円近くから、1億円未満のケースまであり、少額弁済額が負債額にリンクしていない。また、2009年調査時においても最多は「10~30万円未満」で64.0%を占め、少額弁済額については多少の変化はあるものの傾向は変わっていない。
同調査結果は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p181206.pdf