政府は11月28日、来年10月に予定する消費税率10%への引上げに伴う価格設定のガイドラインを公表した。ガイドラインは、「消費税還元セール」など、消費税と直接関連した形での宣伝・広告はこれまで通り禁止するが、「10月1日以降2%値下げ」などの表示で値下げすることは認めることを示した。また、これまで抑制を求めてきた消費税引上げ分以上に値上げする「便乗値上げ」も容認する考えだ。
指針は、「消費税は、事業者ではなく、消費者が最終的には負担することが予定されているため、消費税率引上げ後に小売事業者が値引きを行う場合、消費税と直接関連した形で宣伝・広告を行うことは禁止されているが、これは事業者の価格設定のタイミングや値引きセールなどの宣伝・広告自体を規制するものではない。例えば、『10月1日以降○%値下げ』、『10月1日以降○%ポイント付与』などと表示することは問題ない」と明示している。
また、今回は、中小・小規模小売事業者に対して、来年10月の消費税率引上げ後の一定期間に限り、ポイント還元といった新たな手法などによる支援などを行う予定だ。これにより、中小・小規模小売事業者は、消費税率引上げ前後に需要に応じて柔軟に価格設定できる幅が広がるようになるが、事実に反して、増税前に「今だけお得」といった形で駆込み購入を煽る行為は、景品表示法に違反する可能性があると警告している。
価格の表示方法については、税込価格の表示(総額表示)を義務化している消費税法の特例として、「税抜価格を表示できる」との現行の特例措置に変更はない。例えば、表示する価格が税込価格と誤認されないために、個々の値札等において「○○○円(税抜価格)」や「○○○円(税別)」など税抜価格であることや、「当店(本チラシ)の価格は全て税抜表示になっています」など一括して税抜価格であることを明示すればいい。
なお、ガイドラインは、「従来、消費税率の引上げを理由として、それ以上の値上げを行うことは『便乗値上げ』として抑制を求めてきたが、これは消費税率引上げ前に需要に応じて値上げを行うなど経営判断に基づく自由な価格設定を行うことを何ら妨げるものではない」として「便乗値上げ」を容認した。企業の経営判断で柔軟な価格設定を可能にし、増税前後の駆込み購入や反動減による消費の急激な落込みを防ぐ狙いがあるとみられている。
同ガイドラインの公表は↓
https://www.gov-online.go.jp/tokusyu/keigen_zeiritsu/other/img/20181128_guidline.pdf