矢野経済研究所が29日に発表した「飲料市場に関する調査」結果によると、2017年度の飲料総市場規模(牛乳・乳飲料を含む)はメーカー出荷金額ベースで、前年度比0.5%増の5兆1050億円と僅かではあるが前年度を上回った。7月までは猛暑の後押しもあり、当該市場もプラスで推移していたが、8月に入ると様相が一転し、東日本を中心とした記録的な長雨などの影響を受けたことで飲料販売も低迷した。
9月に関してはここ2~3年は残暑が長引かない傾向となっていることから大きな増減はなかったが、10月は、長雨や記録的な低温日を記録するなど、再び悪天候の影響を受け市場は低迷した。また、同年度は日本茶飲料や野菜飲料、豆乳、ドリンクヨーグルトなど、健康を印象づける飲料分野が拡大。メーカー各社もこうした消費者需要を捉え、特定保健用食品(トクホ)飲料や機能性表示食品なども含め健康を訴求した商品展開を進めている。
こうしたなか、結果的に7月までの好調さと、健康を訴求した商品及び当該分野が貢献し、2017年度は通年でみるとプラス成長だった。近年の飲料市場は新商品がヒットしにくい環境といわれ、これまでのような新商品発売を契機とした販売数量拡大による収益確保が難しい状況では、実績のある既存ブランドに経営資源を集中することが効率的な成長(収益確保)を可能にするものとみている。
2017年度は8月以降の天候不順の影響を大きく受けたなか、微増とはいえ前年度実績を上回った飲料市場であるが、2018年度は、関東での梅雨明けが6月中と早く、最盛期となる夏場も全国的に記録的な猛暑となっており、飲用需要を大きく押し上げることが想定される。猛暑が続くなか、熱中症対策としてスポーツドリンクの需要が急増し、予想を超える需要に製造が追いつかなくなる事態も起きている。
ここ数年は主に天候不順等によりお盆以降に飲用需要が低迷する年が多かったが、2018年度は暑さが続くことが予想され、前年度実績を超えることが期待できるとみられることから、2018年度の飲料総市場規模(牛乳・乳飲料を含む)はメーカー出荷金額ベースで、前年度比2.8%増の5兆2500億円と予測している。
同調査結果は↓
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/1973