17年の新設法人の5社に1社が「合同会社」を選択

 東京商工リサーチが発表した「合同会社の新設法人調査」結果によると、2017年1月~12月に全国で新設された法人は、13万1981社(前年比3.1%増)で、2010年以来、8年連続で前年を上回った。なかでも「合同会社」は2万7039社(同14.4%増)と急増ぶりが際立った。2017年の「合同会社」の急増は、不動産やFX、仮想通貨の個人投資家が節税対策の一つとして活用したことが背景にあるとみられている。

 「合同会社」の増加率14.4%増は前年を6.7ポイント上回った。当初、「合同会社」は信用の面で「株式会社」より低いとされていた。だが、2006年の会社法施行から10年余を経て、大手外資系企業の日本法人が合同会社となった実績に加え、様々なメリットも浸透してきたようだ。新設法人に占める「合同会社」の構成比は年々上昇し、2013年の13.1%から2017年は20.4%に上昇、2割を超えて新設法人の5社に1社にまで増えている。

 「合同会社」を産業別でみると、10産業のうち、8産業が前年より増加。構成比トップは、「サービス業他」で38.7%を占めた。「サービス業他」の新設法人は中小・零細企業が中心で、取引相手も一般消費者が多く、会社形態にさほどこだわらないことが要因とみられる。増加率のトップは、「不動産業」で前年比34.9%増。「金融・保険業」(前年比32.4%増)、「建設業」(同30.4%増)も30%以上の増加率だった。

 業種別でみると、社数トップは「不動産業」の6024社(構成比22.2%)で、2015年が3738社、2016年が4465社と年々増加している。「金融・保険業」は2016年の前年比20.1%減(959社)から、2017年は同32.4%増(1270社)と大幅に増えた。FX(外国為替証拠金取引)や急騰した仮想通貨で利益を得た個人が節税目的で「合同会社」を設立し、押し上げたことも一因とみられている。

 都道府県別では、最多は「東京都」の9522社(前年比20.0%増、構成比35.2%)、次いで、「神奈川県」の2020社(同15.0%増、同7.4%)、「大阪府」の1821社(同18.2%増、同6.7%)と大都市圏が上位に並んだ。33都道府県で前年を上回り、増加率トップは、「和歌山県」の前年比59.0%増、次いで、「山梨県」の同51.4%増、「長野県」の同42.6%増と続く。地区別では、北陸を除く8地区で増加している。

 同調査結果は↓
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20180820_01.html