金融庁では、「経営者保証に関するガイドライン」を融資慣行として浸透・定着させていくことが重要であると考えており、金融機関等によるガイドラインの積極的な活用に向けた取組みを促しているところだが、このほど、ガイドラインのさらなる活用促進を図る観点から、民間金融機関(548機関)におけるガイドラインの活用実績(2017年10月~2018年3月末までの実績)を取りまとめ、公表した。
経営者保証には、経営者への規律付けや信用補完として資金調達の円滑化に寄与する面がある一方、経営者による思い切った事業展開や、早期の事業再生等を阻害する要因となっているなど、保証契約時・履行時等において様々な課題が存在する。これらの課題を解消し中小企業の活力を引き出すため、中小企業、経営者、金融機関共通の自主的なルールとして「経営者保証に関するガイドライン」が策定された。
今回公表された2017年度における同ガイドラインの活用実績によると、(1)「新規に無保証で融資した件数」(ABLを活用し、無保証で融資したものは除く)は56万4244件(2016年度51万85件)、(2)「経営者保証の代替的な融資手法を活用した件数」は729件(同532件)、(3)「保証契約を解除した件数」は5万9988件(同4万7947件)だった。この結果、経営者保証に依存しない件数((1)+(2))は計62万4961件(同55万8564件)となる。
上記の「経営者保証の代替的な融資手法」とは、停止条件付保証契約、解除条件付保証契約及びABL(企業の事業活動を形成する在庫や売掛金、機械設備等に担保を設定する融資)をいう。また、「保証契約を解除した件数」とは、「特定債務保証の解除をした場合」又は「根保証の期限到来前に解除をした場合」又は「根保証の期限到来時に期限延長等をしなかった場合」をいう。
そのほか、「保証金額を減額した件数」は1万9236件(2016年度1万7774件)、「メイン行としてガイドラインに基づく保証債務整理を成立させた件数」は294件(同235件)だった。なお、2016年4月から2017年3月末までの「新規融資件数」は346万6515件(同356万7188件)だったことから、「新規融資に占める経営者保証に依存しない(新規に無保証で融資などの)融資の割合」は16.3%(同14.3%)と約16%になる。