今期「増収」見込む中小企業36.6%、大企業44.0%

 東京商工リサーチがこのほど発表した「2018年度業績見通しに関するアンケート調査」結果(有効回答数6556社)によると、今期(2018年度)、「増収」を見込む中小企業(資本金1億円未満)は36.6%で、大企業は44.0%だった。「増益」見込みは、中小企業が30.7%、大企業が35.4%と、大企業の増益予想が中小企業を4.7ポイント上回り、中小企業には景気拡大の恩恵が大企業ほど浸透していないことが分かった。

 2018年度の売上高見通しが「増収」なのは37.6%、「前年度並み」が43.9%、「減収」は18.5%だった。大企業は「増収」が44.0%だったのに対し、中小企業は36.6%で、7.4ポイントの開きがあり、規模による売上高見通しの差が際立った。また、「前年度並み」は、大企業が42.4%、中小企業が44.2%だった。一方、「減収」は、大企業が13.6%、中小企業が19.2%で、中小企業が5.6ポイント上回った。

 増収理由(複数回答)については、最も多かったのは、「国内法人向け販売の増加」で70.6%、次いで、「人材の充足による生産性の向上」(21.5%)、「国内個人向け販売の増加」(13.6%)と続いた。一方、減収理由(複数回答)で最も多かったのは、「国内法人向け販売の減少」で58.9%、次いで、「人手不足による生産性の低下」の24.2%で、上位2つの理由で全体の8割(83.1%)を占めた。

アンケートの回答企業6527社のうち、「増益」は31.3%、「前年度並み」は46.2%、「減益」は22.5%。規模別では、大企業は「増益」が35.4%だったのに対し、中小企業は30.7%にとどまった。「前年度並み」は、大企業が44.4%、中小企業が46.4%。「減益」は、大企業が20.2%、中小企業が22.9%だった。増益理由(複数回答)で最も多かったのは、「売上高の増加に伴うもの」(85.4%)だった。

 次いで、「仕入・外注先の見直しによる粗利改善」(18.6%)、「内製化によるコスト削減」(12.3%)とコストダウンの回答が続く。人件費や製造コスト、また間接コスト圧縮など多様なコスト圧縮への努力を企業規模に関係なく模索している。「借入金の利率下落による支払利息の減少」は5.6%だった。日銀の金融緩和や信用力改善による借入金利の低下は収益改善に一定の効果はあるが、低金利が続き効果は一部にとどまっている。

 同調査結果は↓
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20180621_03.html