2022年賃上げの見通しは定昇込みで6277円・2.00%

 労務行政研究所が毎年発表している「賃上げに関するアンケート調査」結果によると、2022年の賃上げ見通しは、全回答者406人の平均で6277円・2.00%(定昇分含む)となった。21年は新型コロナウイルス感染拡大の影響から1.86%と8年ぶりに2%を下回ったが、22年は再び2%台に乗る予測である。同調査は、労働側209人、経営側94人、労働経済分野の専門家103人の計406人の回答を集計したもの。

 主要企業の賃上げ率が2%台に乗った2014年以降でみると、同調査における予測値では2017年の2.00%と同様の低い水準。賃上げ率の分布は、労使とも「2.0~2.1%」が最も多く(労働側37.3%、経営側31.9%)、「1.8~1.9%」(労働側12.9%、経営側22.3%)と続く。労使別にみた平均値は、労働側が6428円・2.05%、経営側が6423円・2.04%となり、両者の見通しの差は5円・0.01ポイントと近接している。

 また、自社における2022年の定昇については、労働側で89.0%が「実施すべき」、経営側で87.2%が「実施する予定」と回答。経営側の「実施しない(凍結する)予定」は3.2%にとどまった。一方、ベースアップは、経営側では「実施する予定」17.0%、「実施しない予定」43.6%となった。労働側では、ベアを「実施すべき」が70.8%と3分の2以上を占め、ベアに対する労使の見解には大きな違いがある。

 経営側では、企業業績の伸びや官製春闘などの影響を受け、ベアを「実施する予定」の割合が15年に35.7%と増加。16年以降は“20~30%台”で推移していたが、20年に16.9%と2割を下回り、21年は4.8%とさらに低下。22年は若干上昇したものの、17.0%と2割に届いていない。なお、20年調査から経営側の設問項目に「検討中」を追加しており、19年以前とは回答傾向が異なる可能性があるため、比較の際は留意が必要だ。

 経営側について、自社におけるベアの“21年の実績”と“22年の予定”をみてみると、21年の実績は、「実施しなかった」が68.1%と、「実施した」の26.6%を41.5ポイント上回っている。21年の実績と22年の予定を併せてみると、両年とも“実施しない”が38.3%と約4割を占め、両年とも“実施”は11.7%にとどまっている。

 同アンケート調査結果の詳細は↓

https://www.rosei.or.jp/research/pdf/000081532.pdf