2021年1年間の倒産件数は6015件で、前年比▲23.0%と、2000年以降で最少、1999年以前と比較しても、1966年(5919件)以来半世紀ぶりの歴史的低水準となったことが、帝国データバンクが発表した法的整理による全国企業倒産状況(負債1千万円以上)で分かった。前年からの反動増となった6月を除く11ヵ月で前年同月を下回り、うち10ヵ月が二ケタ減となるなど、年間を通じて倒産が大幅に抑制された。
一方、負債総額は1兆1633億900万円(前年1兆1810億5600万円)となり、前年比で▲1.5%減少し、21世紀最小だった前年をさらに下回った。負債総額は微減にとどまったが、負債50億円以上の大型倒産が6年ぶりに増加に転じるなど、前年よりも規模の大きい倒産の発生増が、負債総額を押し上げた。負債額最大の倒産は、ホテル・レジャー施設を運営していた(株)東京商事(東京都、特別清算、5月)の約1004億8300万円だった。
倒産件数を業種別にみると、運輸・通信業を除く6業種で前年を下回った。小売業(前年1879件→1362件、▲27.5%)では、飲食店(同780件→569件)が200件超の減少となり、小売業全体の件数を引き下げた。サービス業(同1872件→1425件、▲23.9%)でも、宿泊業(同127件→76件)などが前年からの反動減となった。卸売業(同1041件→761件、▲26.9%)は、繊維製品卸(同189件→125件)で前年比33.9%の大幅減となった。
負債規模別にみると、負債5000万円未満の小規模倒産は3665件(前年比▲25.6%)、構成比は60.9%(同▲2.2ポイント)で、13年ぶりに減少したものの、小規模倒産が多数を占める傾向が続いている。一方で、負債50億円以上の倒産は30件と、6年ぶりに増加に転じた。資本金規模別では、資本金1000万円未満(個人事業主含む)の倒産は4041件(前年比▲23.6%)、構成比は67.2%(同▲0.6ポイント)を占めた。
地域別にみると、全地域で前年比二ケタの大幅減となった。全地域の減少は、2015年以来6年ぶり。関東(前年2743件→2246件、▲18.1%)では、飲食店(同232件→169件)のほか、繊維製品卸(同86件→54件)、出版・印刷業(同63件→34件)などが大幅減。近畿(同2084件→1529件、26.6%減)では、16年ぶりの2000件割れで、2府4県全てで二ケタ減少。特に大阪府(同1146件→842件)は前年から300件超の大幅減だった。
同倒産状況の概要は↓