居酒屋倒産、過去2番目の多さ、業種間で明暗分ける

 東京商工リサーチがこのほど発表した「飲食業の倒産動向調査」結果によると、2021年の「飲食業」倒産は648件(前年比▲23.0%)で、2016年以来、5年ぶりに600件台にとどまった。2020年はコロナ禍で外出自粛に加え、緊急事態宣言に伴う休業や時短営業の要請などで過去最多の842件を記録。しかし、2021年はコロナ関連の助成金や協力金など各種支援策が奏功し、倒産は大幅に抑制された。

 一方、2021年の「新型コロナ関連」倒産は300件で、2020年(138件)の2.1倍に増加。コロナ禍で多くの飲食業者は売上減少を余儀なくされ、苦境に立たされている。飲食業倒産に占めるコロナ関連倒産の月別構成比は、1月43.3%、2月35.1%、3月43.6%、4月53.7%、5月49.0%、6月38.3%、7月52.5%、8月48.2%、9月55.7%、10月44.8%、11月38.4%、12月48.0%と、高水準で推移した。

 業種別は、最多が日本料理店や中華料理店、ラーメン店、焼肉店などの「専門料理店」の170件(前年比▲15.4%)。次いで、「酒場,ビヤホール(居酒屋)」152件(同▲12.6%)、「食堂,レストラン」118件(同▲39.1%)の順。居酒屋は、1992年以降の30年間では2020年(174件)に次ぐ2番目の多さだった。このうち、コロナ関連倒産は84件(構成比55.2%、前年34件)で、業種別で最多だった。

 一方、コロナ禍で“巣ごもり需要”“オンライン飲み会”などが広がり、新たな需要開拓で「持帰り飲食サービス業」は16件(前年比▲38.4%)と、2012年(16件)に並び過去10年間で最少を記録。「宅配飲食サービス業」も23件(同▲37.8%)と、過去10年間で最少だった。また、原因別の最多は、「販売不振」の546件(前年比▲23.8%)。以下、「既往のシワ寄せ」37件(同2.7%増)、「事業上の失敗」23件(同▲28.1%)の順。

 『不況型』倒産(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は583件(同▲22.5%)で、飲食業倒産に占める構成比は89.9%(前年89.4%)と、前年を0.5ポイント上回った。形態別では、最多は「破産」の614件(前年比▲22.9%)。飲食業倒産に占める構成比では、「消滅型」が96.4%(同0.5ポイント増)に対して、「再建型」が2.6%(同▲0.8ポイント)で、コロナ禍で再建のめどが立たず消滅型の倒産を選ぶケースが目立った。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20220111_01.html