キーワード、『AI』によるワクチン・治療薬の進展

 三井住友DSアセットマネジメントが発表した「今日のキーワード」によると、足元では新規感染者数等が激減してきた。これには、基本的な感染対策等の徹底に加え、従来よりも迅速に開発・生産されたワクチンの接種が奏功していると言える。そこで、【ポイント1】は、ワクチンや経口治療薬の迅速な実用化の背景に進化した『AI』の存在、【ポイント2】は、「mRNA」ワクチンのタンパク質の解明に活用された『AI』を紹介している。

 新型コロナウイルスのワクチンは、欧米の先進国を中心に感染拡大当初からわずか1年足らずで接種が始まった。また現在は経口治療薬の承認申請が出されており、感染拡大から2年程度で実用化に至ろうとしている。こうした迅速なワクチンや創薬の背景には、昨今の人工知能(『AI』)の飛躍的な進化がある。創薬での膨大な情報や過去のデータ分析は、いわゆるディープラーニング(深層学習)として、現在の『AI』の得意とするところ。

 また、新型コロナウイルスのワクチンの主流の、いわゆる「mRNA」タイプのワクチンの開発でも『AI』が活躍。これらのワクチンは、「mRNA」という物質を利用。「mRNA」はウイルスの表面にあるスパイクタンパク質と呼ばれるタンパク質の遺伝情報を含んでいる。「mRNA」が体内に投与されると、細胞の中で設計図のように働いて、次々とスパイクタンパク質が作られ、これに対して免疫が働き、抗体が作られるという仕組みだ。

 この「mRNA」を利用したワクチンの開発では、複雑なタンパク質の構造を解明する必要があり、従来では非常に手間のかかる作業となっていた。しかし今回は、この過程で『AI』が活用され、非常に短期間でタンパク質の構造が解明できるようになった。そして【今後の展開】をみると、『AI』が創薬時間を短縮しており、着実に『コロナ』との闘い方は見えてきているといえそうだ。

 『AI』が創薬に活用され始めたことで、薬の実用化までの期間が非常に短縮されてきている。新型コロナの新しい変異株であるオミクロン型については、ワクチン開発に必要なデータは2週間以内に利用可能となり、3ヵ月程度で新しいワクチンを出荷できる模様。新型コロナは次々と新たな変異型が現れるなど、『コロナ』との闘いはまだ続きそうだが、こうした『AI』による創薬事業の進展等により、着実にその闘い方は見えてきている。

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