日本生産性本部が上場企業を対象に実施した「メンタルヘルスの取組みに関する企業調査」結果(有効回答数144社)によると、「心の病」の年代別割合は、前回調査(2019年)では10~20代が増加(30.6%)、30代(33.3%)、40代(29.6%)と世代間の差が見られない状況だったが、今回は30代(39.9%)が再び増加し、10~20代(29.0%)、40代(27.5%)を10ポイント超上回り、前回に続き最も「心の病」の多い年代となった。
「最近3年間における『心の病』が増加傾向」と回答した企業は22.9%と、減少傾向から増加に転じた前回調査(2019年)の32.0%から9.1ポイント減少し、再び従来の減少トレンドに戻り過去最低となった。増加傾向に歯止めがかかったからといって心の病が減ったわけではなく、「横ばい」が59.7%、「減少傾向」が11.1%と「減少傾向」は大きなトレンドとはなっていない。
コロナ禍のメンタルヘルスへの影響は、“悪化した”(「悪くなった」1.4%、「やや悪くなった」39.9%)企業が約4割。一方、“悪化していない”(「変化なし」53.1%「やや良くなった」5.6%)企業は約6割。“悪化した”企業の要因(複数回答)は、「コミュニケーションの変化」が約9割(86.2%)の企業で認識。併せて、「在宅勤務の増加」、「職場の対人関係の変化」は、メンタルヘルスが悪化している/悪化していない両方の要因となっている。
働き方・働く場の改善への企業の取組みは、「健康経営に効果」(49.7%:2019年比+8.9ポイント)、「ハラスメント対策に効果」(67.6%:同+12.5ポイント)、「働き方改革に効果」(57.4%:同+39.1ポイント)が大きな成果を上げている。また心の病が「減少傾向」とした企業では、同様に「健康経営に効果」(68.8%)、「ハラスメント対策に効果」(75.0%)、「働き方改革に効果」(75.0%)との回答割合が高い。
ストレスチェック制度の実施目的(複数回答)は、「法制義務化対応のため」という目的が91.4%と9割を超えて最多。「セルフケアによる不調者発生予防のため」(83.5%)「職場環境改善のため」(73.4%)と続く。また、「企業・組織の生産性向上のため」(43.2%:2019年比+11.8ポイント)、「職場の活性化を図るため」(38.8%:同+11.4ポイント)など、ポジティブな活用を目的との回答も増加している。
同調査結果は↓
https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/summery_mentalhealth2021.pdf