今年冬のボーナス、明暗が分かれる製造業・非製造業

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングがこのほど発表した2021年冬のボーナス見通しによると、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」ベースでみた民間企業(調査産業計・事業所規模5人以上)の2021年冬のボーナスは、コロナ禍の影響が一巡したことで下げ止まり、一人当たり平均支給額は38万254円(前年比▲0.1%)と、減少に歯止めがかかるとの見通しを示している。

 もっとも、業績の改善が先行している製造業では回復の動きがみられる一方、非製造業では横ばいが続くとみている。昨年はコロナ禍の影響でボーナスの支給を取りやめる企業が大きく増加したが、今年はボーナス支給を再開する動きがみられると予測。ボーナスが支給される労働者数は4328万人(前年比+2.4%)と増加に転じ、これに伴い支給労働者割合も82.7%(前年差+0.9%ポイント)と上昇に転じるとみている。

 昨年見送ったボーナス支給を復活させる企業が多いとみられているが、その背景には、企業業績の改善と雇用情勢の堅調さがある。企業の経常利益(全規模、金融保険業を除く全産業)は、コロナ禍の最悪期だった2020年4~6月にはコロナ前(2019年10~12月)の約半分まで落ち込んだが、2021年1~3月にはコロナ前の水準を上回るなどに急回復している。

 また、雇用調整助成金の効果や構造的な労働力不足を背景に、完全失業率は2020年10月に3.1%まで上昇したものの、その後は低下に転じている。アベノミクスが始まる2013年まで4~5%で推移していたことを考えると、極めて低水準だ。さらに日銀短観の雇用人員判断DI(全規模、全産業)は、コロナ禍にあっても一貫して人手不足を訴える企業のほうが多いという結果を示しており、労働需給はひっ迫している。

 ボーナスが支給される労働者数が増えることで、2021年冬のボーナスの支給総額(一人当たり支給額×支給労働者数)は、16.5兆円(前年比+2.3%)と2年ぶりに増加に転じるとみている。2021年4~6月の家計金融資産残高(日本銀行「資金循環統計」より)が過去最高を記録したこととあわせて、2021年夏冬のボーナス支給総額の増加は、コロナ禍収束後のリベンジ消費の追い風となることが期待されている。

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