負債1000万円未満の倒産、5社に1社がコロナ関連

 東京商工リサーチの調査によると、2021年(1~10月)の負債1000万円未満の企業倒産は400件(前年同期比▲26.1%)で、1~10月としては、2年ぶりに400件台になった。コロナ禍での国や自治体、金融機関による資金繰り支援策が奏功したが、負債1000万円未満の倒産のうち、「新型コロナ」関連倒産は81件(2020年2~10月34件)で、構成比は20.2%と、5社に1社が新型コロナ関連倒産だった。

 9月30日をもって緊急事態宣言などが全面解除され、本格的に事業が再開された。運転資金の需要が見込まれるなか、コロナ禍の長期化により財務面では疲弊感を強めていて、「黒字倒産」の発生など今後の動向が注目される。また、産業別では、10産業のうち、増加が3産業、減少が7産業だった。産業別の最多は、「サービス業他」の190件(前年同期比▲27.4%)で、1~10月としては、2年ぶりに前年同期を下回った。

 ただ、負債1000万円未満の倒産に占める構成比は47.5%(前年同期48.3%)で、ほぼ半数を占めた。そのほか、「不動産業」8件(前年同期比▲20.0%)は3年連続、「小売業」52件(同▲1.8%)は2年連続、「卸売業」35件(同▲28.5%)は2年ぶり、「建設業」59件(同▲23.3%)、「製造業」12件(同▲55.5%)は3年ぶり、「情報通信業」21件(同▲55.3%)は4年ぶりに、それぞれ減少した。

 負債1000万円未満の「新型コロナ」関連倒産では、最多が「サービス業他」の47件(構成比58.0%、前年同期20件)で、前年同期の2.3倍に増加。このうち、「酒場,ビヤホール(居酒屋)」7件(前年同期1件)、「バー,キャバレー,ナイトクラブ」4件(同1件)などが、緊急事態宣言などで休業や時短営業の影響を大きく受けた。次いで、「小売業」10件(同2件)、「建設業」8件(同2件)の順だった。

 原因別では、『不況型』倒産(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)が316件(前年同期比▲22.3%)だった。負債1000万円未満の倒産に占める構成比は79.0%で、前年同期の75.0%より4.0ポイント上昇。「販売不振」は295件(同▲22.9%)。構成比は73.7%(前年同期70.6%)で、前年同期より3.1ポイント上昇した。「既往のシワ寄せ(赤字累積)」は、前年同期と同件数の21件だった。

 資本金別では、「1000万円未満(個人企業他を含む)」が370件(前年同期比▲26.4%)で、1~10月では2015年以来、6年ぶりに前年同期を下回った。負債1000万円未満の倒産に占める構成比は92.5%で、前年同期より0.3ポイント低下。内訳は、「100万円以上500万円未満」が139件(同▲28.3%)、「個人企業他」が131件(同▲25.5%)、「100万円未満」が63件(同▲16.0%)、「500万円以上1000万円未満」が37件(同▲36.2%)だった。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20211109_02.html