「経営者保証に関するガイドラインの実態調査」公表

 「経営者保証に関するガイドライン」は、経営者の個人保証について、(1)法人と個人が明確に分離されている場合などに、経営者の個人保証を求めないこと、(2)多額の個人保証を行っていても、早期に事業再生や廃業を決断した際に一定の生活費等を残すことや、「華美でない」自宅に住み続けられることなどを検討すること、(3)保証債務の履行時に返済しきれない債務残額は原則として免除すること、 などを定めている。

 金融庁このほどガイドラインの活用状況等に関する実態調査を公表。今回の実態調査では、ガイドライン活用上で考えられる「ガイドラインの要件判断の状況」、「事業承継時におけるガイドラインの活用状況(二重徴求)」、「信用保証と経営者保証の関係」などについて、地域銀行12行の協力を得て、無保証割合等が比較的に高い又は低い金融機関の状況について、個別の取引データ等を受領した上で、対話を行い、その結果を明らかにした。

 その結果、ガイドラインの要件判断の状況については、ガイドラインにおいて、(1)法人と経営者との関係の明確な区分・分離、(2)財務基盤の強化、(3)適時適切な情報開示の3要件を満たす場合、経営者保証を求めない可能性を検討するが、無保証融資割合が高い金融機関と低い金融機関における、ガイドラインの要件の判断状況をみると、(1)法人と経営者との関係の明確な区分・分離、(2)財務基盤の強化の判断について、大きな差がみられた。

 こうした相違の背景には、無保証融資割合が低い金融機関は、ガイドラインの要件を形式的・厳格に判断して運用する一方、無保証融資割合が高い金融機関は、A.経営トップが、むやみに保証を徴求しないよう指導を徹底する方針を定め、B.現場担当者が保証徴求の要否を簡易に判断できるよう、本部で具体的・簡素な運用基準を設定しているような取組みの違いがみられた。

 また、事業承継時におけるガイドラインの活用状況(二重徴求)については、新経営者に対する保証徴求割合は、各行によりバラつきはあるものの概ね高い傾向を示しており、旧経営者に対する保証徴求割合(特に、旧経営者の経営関与が弱い先における保証徴求割合)が低いほど、二重徴求の割合が低い傾向がみられた。経営関与が弱い先とは、旧経営者の代表権がなく、かつ、株式保有割合が1/2以下の先をいう。

 二重徴求の割合が高い先と低い先の組織的な取組みについて、二重徴求の割合が高い金融機関は、行内規定が不十分であるなど、二重徴求解消に向けた具体的な取組みが行われていない一方、二重徴求の割合が低い金融機関は経営トップ主導のもと、A.二重徴求解消に向けて、二重徴求の原則禁止や事業承継時の具体的な徴求基準の明確化、B.新・旧経営者双方に対する説明や保証解除に向けたアドバイスを実施しているように違いがみられた。

 同調査結果は↓
https://www.fsa.go.jp/news/30/ginkou/20180627-2/01.pdf