中小企業の仕入価格判断DI、2014年以来の高水準

 信金中央金庫がこのほど発表した「全国中小企業景気動向調査」結果(有効回答数1万3734社)によると、2021 年に入り、中小企業の仕入価格判断DI(「増加」-「減少」企業割合)は上昇傾向にある。販売価格判断DI(同)も上昇傾向にあるものの、仕入価格判断 DIの上昇には追い付いていない。2021年9月期の仕入価格判断DIは29.5と前期比6.9 ポイント上昇し、2014年以来の高水準となった。

 理由としては、ウッドショックや資源価格の上昇があげられる。なお、2000年代に入ってから、仕入価格が大きく上昇するのは5度目だが、東日本大震災がきっかけとなった 2011年を除いて資源価格の上昇が引き金となっている。ウッドショックとは、2021年3月頃から、住宅の柱や梁(はり)、土台などに使う木材の需給がひっ迫して木材の不足により価格が高騰し、大きな混乱が生じている状況のことだ。

 製造業を中心に、業種別の仕入価格判断DIの動向をみると、部品加工型、建築材料型、機械器具型では軒並み上昇幅が大きくなっている。一方、素材型では、鉄鋼・非鉄金属製造業が上昇しているものの、その他の業種では上昇幅が限定的だ。消費財型では食料品を除き大幅な上昇とはなっていない。また、製造業以外の業種では、建築材料の卸・小売業や総合工事業などで上昇している傾向が強い。

 業種別のコメントからは、「ウッドショックによる木材価格の高騰に加え、その他の資材や運搬費まで上昇」(住宅建設投資:愛知県)、「ウッドショックの影響を受け仕入価格が上がり続けている」(建築資材卸売:神奈川県)などウッドショックに関するコメントだけではなく、「資材不足から仕入価格が上昇し、不採算現場が多発している」(建築資材卸 新潟県)ように、仕入価格の上昇が収益を圧迫しているとの声が多くの企業から聞かれている。

 今回の調査では、ウッドショックや資源価格の上昇を背景に製造業の多くや建設関連産業を中心とした仕入価格の上昇から、収益の低下圧力となる可能性があることが分かった。また、新型コロナ関連融資利用により借入過多に陥り財務面の悪化企業も少なくはない。そのため信用金庫としては、従来通りの資金対応だけではなく、補助金の案内や販路拡大の支援、場合によっては事業承継支援など範囲を広げた対応が求められている。

 同調査結果は↓

https://www.scbri.jp/PDFnews&topics/20211026.pdf