評価制度に不満は38.3%、評価結果に不満も33.2%

 パーソル総合研究所が発表した「人事評価・目標管理に関する調査」結果(有効回答数:一般メンバー層5000人、上司層3000人)によると、自社の評価制度に対する不満については、「不満」を抱いている人は計38.3%(「不満」15.4%、「やや不満」22.9%、)となった。評価のプロセスに不満がある人は36.3%(「不満」14.0%、「やや不満」22.3%)、評価の結果に不満がある人は33.2%(「不満」12.5%、「やや不満」20.7%)だった。

 コロナ後に強まった自社の目標管理制度への不満は、1位は「部署によって目標の難易度が違う」で35.6%、2位は「同じポジションでも人によって目標の難易度が違う」で34.8%、3位は「定量化するのが難しい業務がある」が34.7%となり、コロナ禍による事業への影響の強弱や、テレワークの普及によって、組織内部で目標の水準を合わせることが難しくなっていると推察される。

 自社の目標管理制度に関する企業側の課題では、「従業員の仕事へのモチベーションを引き出せていない」(55.8%)、「従業員の成長・能力開発につながっていない」(53.3%)、「成果を出した人材を報いる処遇が実現できていない」(51.9%)などの回答が過半数となった。評価結果に関する企業側の課題については、1位は「評価結果に差がつかず、中心に偏る」で52.1%、2位は「最終の評価調整が不明な基準で行われる」が48.6%。

 低評価者への対応については、どのような処遇変更であれ、実施されている割合は低いという実態が定量化された。「異動・配置転換」が6.0%のほか、降給・降職・降格はいずれも2%台。また、何かしらの目標管理を行っている割合は53.8%。「MBO(Management by Objectives:個人目標を各自が設定し、その達成度合いで評価する制度)による目標管理」は34.6%、「360度評価」を行っている割合は20.9%だった。

 目標管理と評価プロセスにおいて、上司による中間面談やフィードバックは多くの会社で制度化されているが、制度通りに実施できている上司は3割前後だった。パーソル総研は、「企業は評価の公平性を担保しようと、評価プロセスや等級要件などを精緻化しようとすることが多いが、そもそも従業員から自社の評価制度や評価結果がどのように見られているのかもしっかり意識し、ポジティブな暗黙の評価観を醸成すべき」としている。

 同調査結果は↓

https://rc.persol-group.co.jp/assets/files/202109300001.pdf