国税庁はこのほど、馬券の払戻金の所得区分に関する「『所得税基本通達の制定について』の一部改正について(法令解釈通達)」を公表した。これは、昨年12月15日の最高裁が、「競馬の馬券の払戻金については、馬券購入の態様や利益発生の状況等から雑所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費に該当する」と判示したことを受けて、所得税基本通達の改正案をパブリックコメントに付した上で改正したもの。
馬券の払戻金の所得区分については、従来、原則「一時所得(外れ馬券の購入代金の控除不可)」に該当するとされてきた。ただし、「馬券を自動的に購入するソフトウェアの使用や、長期間・多数回・頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入」をしている一定のケースでは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得(外れ馬券の購入代金の控除可)に該当するとされてきた。
しかし、最高裁が昨年12月、ソフトウェアが未使用の一定のケースでも、払戻金が「雑所得」に該当するとの判断を示し、国側の上告を棄却したことを踏まえて、所得税基本通達の改正作業を進めていたもの。今回公表された改正通達の内容は、改正案の内容と同様だが、改正案には盛り込まれていなかった「競輪の車券の払戻金等に係る所得」についても、競馬の馬券の払戻金に準じて取り扱うことが留意的に示されている。
改正後の所基通は、馬券の購入方法について、「馬券を自動的に購入するソフトウェアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、又は予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けること」とした。
その上で、こうした購入方法により、「年間を通じての収支で多額の利益を上げ、これらの事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する」とし、「これ以外の場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、一時所得に該当することに留意する」とした。
つまり、上記に該当しないいわゆる一般の競馬愛好家については、従来どおり一時所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費として控除できないので注意が必要ということだ。
この件は↓
http://www.nta.go.jp/information/other/data/h30/keiba/index.htm