米中摩擦に端を発した半導体不足は長期化の様相を呈している。2021年内も半導体不足が続くとされ、従来のような安定調達はしばらく困難を極めるとみられる。今後、半導体不足に起因する本格的な減産や生産休止などの影響は半導体を使用する製造業全体に及び、かつ長期化することが予想される。そのため、家電製品などで商品在庫の不足や欠品といった影響が、流通や小売など川下産業にも徐々に波及していく可能性が高い。
帝国データバンクが発表した「上場企業の半導体不足の影響・対応調査」結果によると、8月26日現在、2021年度以降で判明した「半導体不足」の影響や対応のうち、生産や商品・サービス供給面で「マイナスの影響」が判明した上場企業は115社にのぼった。うち、売上高や利益など業績面でもマイナスの影響、あるいは今後マイナスの影響が見込まれる企業は60社に達した。自動車産業など製造業を中心に半導体不足の影響が広がっている。
具体的な影響面をみると、最も多かったのは半導体の供給不足による取引先の減産対応にともない、自社も生産調整などを強いられた「間接型」の59社で、全体の半数を占めた。半導体不足が直接の原因となり、生産休止や減産を強いられたケースは22社だった。直接・間接型合わせて、半導体不足が生産に影響した企業は合計81社となり、全体の7割を占めている。
取扱い商材が半導体不足の影響を受け、自社の販売や納品に支障をきたした「納品遅延」は18社、「商品・サービスの取扱い縮小・中止」は3社で、これらは主に流通関連やサービス業で多い。業種別にみると、最も多いのは「製造業」の86社だった。製造業のなかでも、自動車部品や自動車製造のほか、金属プレス製品や自動車駆動装置など自動車関連産業での影響が目立った。
これらの業種では、半導体不足による国内外の自動車メーカーの減産にともない、自社でも生産量の調整といった対応に迫られたケースが多くみられる。またスマートフォン向けの部品のほか、家電製品やゲーム機などエレクトロニクス産業、楽器といった分野でも半導体不足による悪影響が及んだ。次いで多いのは「卸売・小売業」の19社だった。新車の納期遅延が相次ぎ、ディーラー販売やカーコーティングなど周辺産業で影響が出ている。
同調査結果は↓