消費税の課税対象としてなじまない非課税となる取引

 消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う取引を課税の対象としている。しかし、これらの取引であっても消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮から、課税しない非課税取引が定められている。主な非課税取引には、まず、(1)土地の譲渡及び貸付けがある。ただし、1ヵ月未満の土地の貸付けや駐車場などの施設の利用に伴う土地の使用の場合は、非課税取引には当たらない。

 次に、(2)有価証券等の譲渡がある。国債や株券などの有価証券、登録国債、合名会社などの社員の持分、抵当証券、金銭債権などの譲渡だが、株式・出資・預託の形態によるゴルフ会員権などの譲渡は非課税取引には当たらない。(3)銀行券、政府紙幣、小額紙幣、硬貨、小切手、約束手形などの支払手段(暗号資産も含む)の譲渡がある。ただし、これらを収集品として譲渡する場合は非課税取引には当たらない。

 さらに、(4)預貯金の利子及び保険料を対価とする役務の提供等がある。預貯金や貸付金の利子、信用保証料、合同運用信託や公社債投資信託の信託報酬、保険料、保険料に類する共済掛金などだ。(5)日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡及び地方公共団体などが行う証紙の譲渡、(6)商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡も非課税取引だ。

 また、(7)外国為替業務に係る役務の提供や(8)社会保険医療の給付等(健康保険法、国民健康保険法などによる医療、労災保険、自賠責保険の対象となる医療など)だが、美容整形や差額ベッドの料金及び市販されている医薬品を購入した場合は非課税取引に当たらない。(9)助産(医師、助産師などによる助産に関するサービスの提供等)、(10)火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供、(11)一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け等がある。

 そのほか、(12)学校教育(学校教育法に規定する学校、専修学校、修業年限が1年以上などの一定の要件を満たす各種学校等の授業料、入学検定料、入学金、施設設備費、在学証明手数料など)、(13)教科用図書の譲渡、(14)住宅の貸付け(契約において人の居住の用に供することが明らかにされているものに限られる)が非課税取引だが、1ヵ月未満の貸付けなどは非課税取引には当たらない。