東京商工リサーチが発表した「飲食業の倒産動向調査」結果によると、2021年上半期(1~6月)の「飲食業」倒産は330件(前年同期比▲21.0%)だった。国や自治体、金融機関などによる資金繰り支援が奏功し、2007年同期以降の15年間では2015年同期(312件)に次ぐ、2番目の低水準にとどまった。ただし、コロナ禍の長期化に伴い、新型コロナ感染拡大の直撃で経営が悪化した企業の脱落が目立ってきている。
業種別では、日本料理店や中華料理店、ラーメン店、焼肉店などの「専門料理店」の91件(前年同期比▲17.2%)が最多。次いで、「酒場,ビヤホール(居酒屋)」79件(同▲7.0%)、「食堂,レストラン」52件(同▲49.5%)の順。新型コロナ関連倒産が占める構成比では、「そば・うどん店」60.0%、「酒場,ビヤホール(居酒屋)」59.4%、「持ち帰り飲食サービス業」50.0%の3業種で5割以上だった。
飲食業倒産のうち、新型コロナ関連倒産は145件(構成比43.9%)発生している。コロナ禍でのテレワークや外出自粛、酒類提供の停止などが、飲食業の業績悪化に大きな影響を与えている。飲食業に対する協力金などは一定の効果を発揮しているが、飲食業の多くを占める小・零細企業は手元資金に乏しい企業が多い。協力金などの支給遅れやコロナ禍の収束時期次第では、息切れや先行きへの諦めから倒産が増勢に転じる可能性が高まっている。
資本金別では、個人企業を含む「1千万円未満」は288件(前年同期比▲22.7%)。飲食業倒産に占める構成比は約9割(87.2%)を占めた。一方、「1億円以上」は2020年同期以降、2年連続で発生していない。負債額別では、「1億円未満」が288件(前年同期比▲23.8%)で、構成比は約9割(87.2%)を占めた。資本金・負債額ともに、小・零細規模の倒産が主体となっている。
都道府県別でみると、緊急事態宣言が継続している「沖縄県」では3件(前年同期比200.0%増)。まん延防止等重点措置が発令されている地域では、増加が「京都」11件(同22.2%増)、「福岡」19件(同11.7%増)、「埼玉」10件(同11.1%増)、「兵庫」26件(同4.0%増)。一方、減少は「愛知」19件(同▲54.7%)、「北海道」9件(同▲40.0%)、「神奈川」13件(同▲27.7%)、「大阪」57件(同▲25.9%)、「東京」47件(同25.3%▲)だった。
同調査結果は↓