コロナ禍で進む企業における集合研修のオンライン化

 パーソル総合研究所がこのほど発表した「企業におけるオンライン集合研修の実態に関する調査」結果(有効回答数:人事調査400人、受講者調査2000人)によると、多数の従業員に対して研修を一斉に行う「集合研修」について、コロナ禍を受けてどのくらいオンライン化が進んでいるかをみたところ、オンライン集合研修を増やした企業の割合は75.0%だった。企業規模が大きくなるほどオンライン化に積極的な傾向がみられる。

 現時点ですでにオンライン集合研修を実施している企業のうち、今後も既存の研修をオンラインに置き換えていきたい企業の割合は全体平均で80.4%だった。さらに、オンライン集合研修で成果(研修目的の達成・実務への貢献)が得られている企業に限ってみると、その割合は90.0%にも及ぶ。なお、成果が得られていない企業でも65.2%がオンラインに置き換えようとしている。

 今年度以降もオンライン集合研修は増えていくことが見込まれ、オンラインならではのメリット・デメリット、成果につながりやすい研修の在り方の意識が重要とみられている。オンライン集合研修のメリット(複数回答)について、受講者に尋ねたところ、1位は「時間の削減」で31.1%、2位は「スケジュール調整がしやすかった」で27.8%となり、時間面の効率性が上位に挙がった。

 一方、オンライン集合研修のデメリット(複数回答)について、受講者は、1位は「受け身になりやすかった」で21.0%。2位は「受講者同士の交流機会の不足」で19.7%、3位は「受講者同士で関係性が構築できなかった」で17.4%、4位は「発言しづらかった」で16.1%と、リアルな場よりもコミュニケーションしづらい様子がうかがえる。コミュニケーションを誘発する機会や仕掛けを設けるなど、何かしらの対応が必要とみられる。

 企業の研修担当者に対して、研修の実施形式別に学習目標の達成度を聞いたところ、「学習目標を8割以上達成」は、オンライン集合研修では46.5%だが、eラーニングでは32.0%と達成度が低い。企業によるオンライン集合研修前後のフォローの実施状況は、「事前学習を特に行わなかった」が33.0%、「事後フォローを特に行わなかった」が34.5%。研修後のフォローは成果との相関が高いことから、より多くの企業が注力すべきと考えられる。

 同調査結果は↓

https://rc.persol-group.co.jp/assets/files/202107050001.pdf