「ジョブ型人事制度」とは、特定の業務のために専門職を採用し、成果によって雇用の継続や処遇が決まる仕組みのこと。パーソル総合研究所が企業規模300人以上に勤める経営・経営企画、総務・人事担当者を対象に実施した「ジョブ型人事制度に関する企業実態調査」結果(有効回答数740人)によると、ジョブ型人事制度の導入状況・見通しは、57.6%が「導入済み」又は「導入検討中(導入予定含む)」と回答した。
他方で、28.5%の企業は今後も「導入しない」意向を示した。ジョブ型を導入済み、又は導入検討中の企業の導入目的(複数回答)は、「従業員の成果に合わせて処遇の差をつけたい」が65.7%で最も多く、次いで、「戦略的な人材ポジションの採用力を強化したい」(55.9%)、「従業員のスキル・能力の専門性を高めたい」(52.1%)、「従業員の多様性・ダイバーシティを確保したい」(48.6%)などが上位に挙げられた。
一方で、ジョブ型を「導入しない方針」と回答した企業の、その理由(複数回答)については、「今の人事制度が自社のビジネスに適合的だから」が57.3%と最も多く、次いで、「導入のメリットよりもデメリットが多いと思うから」(31.8%)、「導入のノウハウや知識がないから」(26.1%)、「単なる流行だと思うから」(19.9%)、「導入を検討する時間・工数がとれないから」(14.7%)などが続いた。
また、「導入済み企業」にどのような特徴があるかを分析したところ、「職務給・役割給導入」の傾向が強く、「脱・年功主義的」な制度運用がなされていること、また「ほとんどの職務」に対して職務記述書を作成していることが分かった。なお、職務記述書の作成状況については、回答企業全体では「ほとんどの職務に対して作成」している企業が35.3%であるのに対し、ジョブ型導入済み企業では54.9%と20ポイント近く多くなっている。
次に、未導入企業のうち、「導入を検討している企業(検討企業)」と「今後も導入しない方針である企業(非志向企業)」の特徴を比較したところ、検討企業はグローバル志向の傾向が強く、中途入社者の高い離職率に対する課題感があるほか、デジタル化・IT化を重視している特徴などが見られた。人事制度の在り方と経営との関係性について、制度運用上の特徴では、「目標や処遇の透明性が高いこと」が特に大きな影響度を示している。
同調査結果は↓
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/research/assets/employment.pdf