2020年度に教育訓練費用を支出した企業は 49.7%

 厚生労働省が公表した2020年度「能力開発基本調査」結果(有効回答数:7392社、7138事業所、2万9516人)によると、2020年度調査における企業の教育訓練への費用の支出状況は、OFF-JT又は自己啓発支援に支出した企業は 49.7%だった。OFF-JTと自己啓発支援の両方に支出した企業は20.2%、OFF-JTにのみ費用を支出した企業は25.1%、自己啓発支援にのみ支出した企業は 4.4%だった。

 OFF-JTに費用を支出した企業については45.3%と、前回2019年度調査と比べて減少。自己啓発支援に費用を支出した企業割合も24.6%と、前回と比べて減少している。OFF-JTに支出した費用の労働者一人当たり平均額(費用を支出している企業の平均額)は0.7万円で、前回に比べ減少。一方、自己啓発支援に支出した費用の労働者一人当たり平均額 は0.3万円で、2018年度調査以降、横ばいで推移している 。

 企業の発展にとって最も重要と考える労働者の能力・スキル(3つまで複数回答)について、管理職を除く正社員では、50歳未満では、「チームワーク、協調性・周囲との協働力」(52.8%)、「職種に特有の実践的スキル」(37.1%)の順で、50歳以上では、「マネジメント能力・リーダーシップ」(54.6%)、「課題解決スキル(分析・思考・創造力等)」(38.2%)の順で、それぞれ多くなっている。

 また、2020年度の事業所調査において、正社員又は正社員以外に対してOFF-JTを実施した事業所は69.8%で、その内訳は、「正社員と正社員以外、両方実施」は27.2%、「正社員のみ実施」は40.9%、「正社員以外のみ実施」は1.7%。一方、「OFF-JTを実施していない」事業所は29.6%。実施対象を職層等別にみると、正社員では「新入社員」が56.7%、「中堅社員」が52.4%、「管理職層」が45.5%、「正社員以外」は29.0%となった。

 能力開発や人材育成に関して何らかの問題があるとする事業所は、74.9%となり、前回と比べてやや減少も、4分の3以上の事業所で、能力開発や人材育成に関する問題があることがうかがえる 。何らかの問題があるとする事業所のうち、問題点の内訳(複数回答)は、「指導する人材が不足している」(54.9%)が最も高く、「人材育成を行う時間がない」(49.4%)、「人材を育成しても辞めてしまう」(42.6%)と続いている。

 正社員を雇用する事業所のうち、正社員に対して キャリアコンサルティングを行うしくみがある事業所は、37.8%だった。3年移動平均をみると、近年、40%台前半で推移している。一方で、正社員以外を雇用する事業所のうち、正社員以外に対してキャリアコンサルティングを行うしくみがある事業所は、24.9%と、正社員に比べると低い水準となっている。 3年移動平均をみると、近年、20%台後半で推移している。

 同調査結果の概要は↓

https://www.mhlw.go.jp/content/11801500/000796024.pdf