東京商工リサーチがこのほど発表した「新型コロナウイルスに関するアンケート調査」結果(有効回答数1万828社)によると、ワクチン接種が全国で進むなか、コロナ禍の収束時期の予想は最多が「2022年1月~3月頃」の29.1%で、「年内」は17.7%にとどまった。1年以上先である「2022年7月以降」は24.8%にのぼり、多くの企業がコロナ禍はさらに1年以上続くとみていることが分かった。
2割を超える企業がコロナ禍はあと1年以上続くとみているが、コロナ禍が収束した後のコロナ前と比較した自社の売上高の予測は、最多は「現在コロナ前より売上高が落ちており、コロナ後は回復する」の57.7%だった。各回答を業種別(業種中分類、回答母数20以上)にみると、「印刷・同関連業」では38.8%の企業が「現在コロナ前より売上高が落ちており、コロナ後も回復はしない」と回答した。
業績(売上高)については、「印刷・同関連業」の38.8%、「広告業」の33.3%、「道路旅客運送業」の32.0%が「コロナ前より売上高が落ちており、コロナ後も回復はしない」と回答。政府は、事業再構築補助金など、コロナ後を見据えた企業支援を加速させている。ただ、コロナ後も厳しい見通しを示す企業が多い業種・業界は、ビジネスモデルの大幅な見直しを迫られており、よりきめ細かな支援が必要になりそうだ。
コロナ禍が長引いた場合の「廃業」を検討する可能性は、「ある」は7.1%だった。「ある」は前回調査(4月)より0.3ポイント悪化し、7%台に乗せた。規模別では、大企業で「ある」と回答した企業は1.0%にとどまった一方、中小企業は8.2%と前回調査より0.4ポイント悪化して、8%台となった。業種別では、「宿泊業」が36.8%、「飲食業」が33.8%に達し、度重なる緊急事態宣言の影響を色濃く反映した結果となった。
コロナ禍での経営課題を相談した先(複数回答)は、最多は「役員・従業員」の45.4%。また、「顧問税理士」は27.7%、「メインバンク」は23.5%「取引先・同業者」は14.2%だった。一方で、「相談していない」は28.5%と3割近くにのぼった。「メイン以外の金融機関」は、大企業が3.7%なのに対して、中小企業は8.1%と差が開いた。「相談していない」は、大企業で34.2%、中小企業で27.6%(2,344社)だった。
同調査結果は↓