東京商工会議所が東京23区の中小企業を対象に5月17日~27日に実施した「中小企業のテレワーク実施状況に関する調査」結果(有効回答数662社)によると、今年5月の緊急事態宣言下における東京23区内の中小企業のテレワークの実施率は38.4%となった。前回緊急事態宣言時(2021年1月~3月)の調査に比べ、27.8ポイント減少した。全ての企業規模・業種で実施率が低下傾向にある。
企業規模(従業員数)別では、従業員「301人以上」が最も高く64.5%(前回調査比22.3ポイント減)となり、「50人以下」が最も少なく29.8%(同26.8ポイント減)と企業規模が小さい(従業員数が少ない)企業ほど実施率が低い結果となった。業種別では、前回緊急事態宣言時と比較し、全ての業種で実施率が低下。「卸売業」は32.1ポイント減少の40.3%と、最大の下げ幅となった。
テレワークを実施している社員の割合は、「20%以下」が52.4%と最も多く、前回緊急事態宣言時と比べ22.6ポイント増加した。テレワーク継続の目的は、「出勤人数抑制」が72.4%と最多で、次いで「事業継続性の確保」が58.7%となった。テレワークを実施する上での課題については、「情報セキュリティ」が56.7%で最も多く、次いで「社内コミュニケーション」が55.9%、「PCや通信環境の整備状況」が55.1%となった。
今回調査でテレワークを実施していない企業のうち87.3%が、前回の緊急事態宣言時にもテレワークを実施していなかった。テレワークを実施できない理由は、「テレワーク可能な業務がない」が64.7%で最多、次いで「生産性の低下」(24.0%)、「PCや通信環境の整備状況」(19.6%)、「取引先とのコミュニケーション」(18.9%)、「社内コミュニケーション」(15.4%)となった。
企業からは、「昨年4月の緊急事態宣言発令後、すぐにテレワークを導入したが、最近は売上が回復し、出社した社員に業務が集中し残業が増えていた。今年5月の緊急事態宣言が延長されたタイミングで、テレワークの実施をやめた」、「服の生地を扱っており、営業をする際に生地の肌触り、色、重さなどは実際に見せながらでないと顧客に訴求できず、営業活動の推進の阻害となっていたためテレワークの実施をやめた」といった声が寄せられた。
同調査結果は↓