帝国データバンクがこのほど発表した「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1242社)によると、自社における事業継続計画の策定状況は、「策定している」企業の割合(BCP策定率)は 17.6%となり、前年(2020年5月)から1.0ポイント増加した。BCP策定率は年々上昇し過去最高を記録したものの、未だ2割を下回る低水準。また、「現在、策定中」は7.9%、「策定を検討している」は24.1%だった。
この結果、BCPに対して『策定意向あり』(「策定している」、「現在、策定中」、「策定を検討」の合計)とする企業は49.6%で前年比3.3ポイント減少した。BCP策定企業割合を規模別でみると、2021年は大企業が32.0%、中小企業が14.7%となり、中小企業は低位にとどまる。また、BCPに関する調査を開始した 2016年からの推移をみると、大企業・中小企業ともに緩やかながらも増加傾向にあり、特に直近2年間は高まりがみられる。
BCPを『策定意向あり』の企業が事業の継続が困難になると想定しているリスク(複数回答)は、地震や風水害、噴火などの「自然災害」が 72.4%となり、2017年から5年連続でトップ。次いで、新型コロナウイルスなど「感染症」(60.4%)が続き、6割超と高水準。また、1年前と比較すると「設備の故障」(前回調査30.6%→今回35.8%)、「情報セキュリティ上のリスク」(同27.8%→同32.9%)の増加が目立つ。
BCPを『策定意向あり』の企業が事業が中断するリスクに備えて実施・検討している内容(複数回答)は、「従業員の安否確認手段の整備」が68.5%で最も高く、同様の設問を尋ねている 2017年から5年連続でトップ。次いで「情報システムのバックアップ」が 55.4%で続いた。各項目の多くで大企業が中小企業を上回っているなかでも、それぞれの規模で取り組む内容には違いがみられた。
BCPを「策定している」企業の策定による効果(複数回答)は、「従業員のリスクに対する意識が向上した」が 55.5%でトップ。特に大企業では60.1%と6割を上回る。次いで、「事業の優先順位が明確になった」(33.4%)、「業務の定型化・マニュアル化が進んだ」(33.0%)が3割台で続いた。また、「取引先からの信頼が高まった」(23.2%)のような企業の見られ方に関してメリットを実感する回答もある。
同調査結果は↓