信用金庫は預金6.8%増、貸出金6.1%増と鈍化

 信金中央金庫が発表した2021年5月末の預金・貸出金動向(速報)によると、全国254信用金庫の5月末の預金残高の合計は158.8兆円、前年同月比増減率は6.8%増となった。貸出金残高の合計は78.4兆円、増減率は同6.1%増となった。前月4月末の増減率は、預金が同8.1%増、貸出金が同7.7%増だったので、前月と比べてそれぞれ1.3ポイント、1.6ポイントの鈍化となった。

 昨年春からの新型コロナウイルス感染拡大に伴い、信用金庫は資金繰り支援を積極的に行ってきた。特に20年5月の民間金融機関による実質無利子無担保の制度融資の取扱開始後は、貸出金残高が急増。21年5月の前年同月比でみた増減率は、同制度の利用が開始された前年5月の残高と比べるため、増減率が鈍化。また、前年同月比増減率について、末残(月末残高)と平残(月中平均残高)を比べると、足元の21年5月は両者の乖離が大きい。

 特に貸出金で平残(7.3%増)と末残(6.1%増)の乖離が大きく、1年前の5月中に月末に向けて資金繰り融資が急激したことを反映している。このように、中小企業の資金繰り支援に大きく寄与した信用保証協会の承諾実績をみると、感染が拡大した昨年3月以降、大きく伸びている。20年6月のピーク後は、保証承諾額、件数とも減少傾向で推移してきたが、年度末の21年3月に再び大きく伸びている。

 これは、民間金融機関による実質無利子無担保の制度融資の期限である3月末にかけて、申込みが集中したためとみられる。保証承諾額の前年同月比をみると、最新データとなる21年4月には100%を下回り、20年2月以来14ヵ月ぶりに前年同月比で減少に転じている。一方、倒産などで金融機関への返済ができなくなった場合に信用保証協会が金融機関に対して貸付残額を肩代わりする代位弁済は、低水準で推移している。

 銀行業態の動向をみると、全国銀行110行の預金合計は、863.3 兆円、前年同月比で5.4%増。貸出金合計は、534.4兆円、同0.5%増となった。前月4月はそれぞれ 8.2%増、2.6%増だったので、資金繰り支援の一巡で信用金庫以上に大きく鈍化。業態別にみても、預金、貸出金とも各業態で5月に増減率が大きく鈍化している。なかでも都市銀行の貸出金は同2.0%減と、18年3月末以来38ヵ月ぶりに減少に転じた。

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