1~5月飲食業倒産のうちコロナ関連倒産がほぼ半数

 東京商工リサーチが発表した「飲食業の倒産動向調査」結果によると、今年1~5月の飲食業倒産(負債1000万円以上)は270件(前年同期比▲15.6%)だった。年間最多を記録した2020年(842件)と比べ、給付金や協力金などの支援効果もあり、飲食業の倒産は抑制されている。ただ、飲食業倒産のうち、新型コロナ関連倒産が123件と、ほぼ半数を占め、時間の経過とともにコロナ禍の影響が事業継続に深刻な影を落としている。

 緊急事態宣言の再延長や、まん延防止等重点措置実施が続く。緊急事態宣言下では、休業・時短営業や酒類提供の停止等が要請されている。「酒場・ビヤホール(居酒屋)」では倒産が69件発生し、このうち新型コロナ関連倒産は43件と6割以上(構成比62.3%)を占めた。酒類提供が制限され、来店客の減少や客単価の低下などで売上が落ち込み、厳しい状況に置かれている。飲食業界の見通しは厳しい状況が続いている。

 業種別では、日本料理店や中華料理店、ラーメン店、焼肉店などの「専門料理店」が71件(前年同期比▲19.3%)、「酒場,ビヤホール(居酒屋)」69件(同2.9%増)、「食堂,レストラン」45件(同▲34.7%)の順。新型コロナ関連倒産が占める構成比では、「酒場,ビヤホール(居酒屋)」が62.3%、次いで、「持ち帰り飲食サービス業」が60.0%と続く。コロナ禍で、特に、酒類を提供する居酒屋などを中心に、業況は厳しさを増している。

 原因別の最多は、「販売不振」の236件(前年同期比▲16.0%)で、飲食業倒産に占める構成比は87.4%だった。時短営業や休業要請による売上の減少で、業況が悪化している飲食業者も多い。次いで、「既往のシワ寄せ」11件(同10.0%増)、「事業上の失敗」7件(同▲41.6%)の順。『不況型倒産』(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は247件で、飲食業倒産の9割(91.4%)を占めた。

 都道府県別では、増加が20府県、減少が19都道府県、同数が8県。緊急事態宣言発令の10都道府県では、増加が、「京都」9件(前年同期比50.0%増)、「福岡」14件(同7.6%増)、「沖縄」3件(同200.0%増)。一方、減少は、「北海道」8件(同▲38.4%)、「東京」36件(同▲32.0%)、「愛知」16件(同▲52.9%)、「大阪」46件(同▲22.0%)、「兵庫」17件(同▲10.5%)、「岡山」ゼロ(前年同期3件)、「広島」5件(同▲16.6%)の7都道府県。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210607_01.html