帝国データバンクがこのほど発表した法的整理による全国企業倒産状況(負債1千万円以上)によると、5月の倒産件数は461件で、前月比は▲5.7%となったものの、前年同月比では60.1%増となり、過去最大の増加幅を記録し、10ヵ月ぶりの前年同月比増加となった。依然として件数自体は低水準なものの、前年同月は緊急事態宣言の発出に伴う法的整理手続き滞留による影響で倒産が抑制、当月はその反動増となった。
一方、負債総額は1664億4700万円(前月799億9000万円、前年同月711億3100万円)、前月比では108.1%増、前年同月比でも134.0%増の大幅増加となって、2ヵ月ぶりに前年同月を上回った。これは、(株)東京商事(東京都、特別清算、負債約1004億8300万円)の大型倒産が発生したことが要因で、これを除いた負債総額は659億6400万円と5月では過去最小となる。
倒産件数を業種別にみると、7業種中全業種で前年同月を上回った。全業種での増加は2019年9月以来20カ月ぶり。建設業(84件、前年同月比133.3%増)は9ヵ月ぶりに増加。小売業(100件、同51.5%増)では飲食店(49件)が6ヵ月ぶりに増加し、小売の中では最大の増加幅となった。サービス業(110件、同64.2%増)では、ソフトウェア開発など広告・情報サービス業(34件)などで増加した。
負債規模別にみると、負債5000万円未満の小規模倒産は281件(前年同月比88.6%増)で、構成比は61.0%を占め、依然として小規模倒産が大半を占める傾向が続いた。資本金別では、個人経営と資本金1000万円未満(個人事業主を含む)の合計が316件(同69.0%増)で構成比は68.5%と高水準で推移した。負債5000万円未満の倒産では、サービス業(80件)が構成比28.5%を占め前年から倍増、小売業(64件)が同22.8%で続く。
地域別にみると、9地域中6地域で前年同月を上回った。関東(176件、前年同月比95.6%増)は、1都5県で増加。特にサービス業(57件)や建設業(29件)では前年同月から倍増した。近畿(111件、同113.5%増)も、建設業(21件)を筆頭に、小売業(22件)やサービス業(26件)が大幅に増加し、前年同月から倍増となった。一方、東北(12件)、四国(6件)、九州(36件)の3地域は、前月に引き続き減少となった。
同倒産状況の概要は↓