国税庁は4月20日、「2021年中に相続等により取得した原子力発電所周辺の避難指示区域内に存する土地等の評価について」の法令解釈通達(案)に対するパブリックコメントの募集を開始した。これは、2021年中に相続、遺贈又は贈与により取得した土地等で、同年1月1日現在において原子力発電所周辺の帰還困難区域に設定されている区域内に存するものの評価を行う場合等の取扱いを定めたもの。
今回のパブリックコメント募集に合わせて公表された通達案によると、2021年中に相続、遺贈又は贈与により取得した、避難指示区域内の土地等の価額、株式及び出資を純資産価額方式により評価する場合における評価対象法人が保有する避難指示区域内の土地等の価額については、その価額を「0」として差し支えないこととしている。評価対象法人とは、評価しようとする株式の発行法人又は出資に係る出資のされている法人をいう。
相続税や贈与税において土地等の価額は時価により評価することとされているが、相続税等の申告に当たり土地等の時価を自分で把握することは必ずしも容易ではないことから、国税庁では毎年、土地等の評価額の基準となる路線価及び評価倍率を定めて公開している。しかし、避難指示区域内の土地等(2021年1月1日現在において帰還困難区域に設定されている区域内に存するもの)については、路線価等を定めることが困難な状況にある。
その理由は、(1)自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額の把握が困難又はできず、路線価等を定める環境や売買実例価額に準拠して評価する環境にない、(2)避難指示区域内の土地等は使用収益制限などによって減価しているが、その減価の程度の具体的な把握は困難、(3)「時価」を超える評価は違法となるが、相続税等の課税のための評価であることを考慮すると評価の安全性を十分に考慮する必要がある、などだ。
したがって、避難指示区域内の土地等については、2020年分までと同様に路線価等を定めることが困難な状況にあることから、今回通達を制定することとなり、意見募集を行う運びとなったもの。意見募集の締切は5月19日。電子政府の総合窓口(e-Gov)、FAX、郵便等による提出が可能だが、いずれも締切日必着となる。
この件は↓
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=410020103&Mode=0