2020年度決算、全産業平均1%の増収、業種別で明暗

 帝国データバンクが19日に発表した「新型コロナによる企業業績への影響調査」結果によると、2020年4~12月期までの企業業績は、全産業(金融・保険を除く)の対象約5万4500社のうち「減収」となった企業が55.7%で最も多く、前年同時期に比べ17.6ポイント増加した。「増収」は44.1%で、前年から11.4ポイント減少した。コロナ禍の影響を受け景況感が急速に冷え込むなか、半数超の企業で業績にマイナスの影響を受けた。

 この結果、4~12月期全体の売上高伸び率平均は1.4%のプラスだった。前年同時期(+7.7%)に比べて増加率は大きく落ち込んだが、引き続き増収を維持した。業種別でみると、減収企業の割合は製造が最も高く69.2%にのぼり、全体を大きく上回った。他方、非製造では53.0%にとどまった。2020年度は新型コロナの影響を大小問わず受けたなかで、業界によっても業績動向は大きく異なっている。

 業種別にみると、前年から売上高の伸び率が最も高い業種は「電気通信・郵便」で、平均 26.0%のプラス。光通信回線の販売やプロバイダ事業を中心に、巣ごもりやテレワークの普及を背景に固定通信サービス需要が増加し、売上が伸長した。「教育」(+11.4%)は、主に社会人向けの講座や技能実習の受講者数増加が寄与。「スーパーストア」(各種商品小売、+9.6%)は、巣ごもり需要の増加で家庭向け食品の販売などが好調だった。

 他方で、最も売上高が落ち込んだのは「貴金属製品卸」(▲17.1%)。国内景気の急減速を受けた高額ジュエリー需要の減退、百貨店の休業などで主力の催事販売が行えず、平均約2割のマイナス。「皮革製品製造」(▲12.9%)は、在宅勤務の普及などでビジカジ需要が振るわず、革靴などのシューズや高単価な革製バッグなどの需要が伸び悩んだ。「飲食店」、「宿泊業」なども需要の大幅減に見舞われ、それぞれ平均で1割近い落込みとなった。

 また、新型コロナの影響を受け、売上急減によるキャッシュフロー悪化への備えにとどまらず、不測の事態に備えて手元流動資金に余裕を持たせる動きが強まっている。企業が持つ現預金の余力を示す「現預金手持日数」は全産業で平均96日分となり、前年の75日分に比べて約3週間分増加した。新型コロナウイルスによる景気悪化の長期化に備え、各企業で手元資金を厚くする動きが表れた。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p210408.html