約6割の中小企業がIT導入を実施または検討中

 商工組合中央金庫がこのほど発表した「中小企業のIT導入・活用状況に関する調査」結果(有効回答数4890社)によると、ITの導入・活用状況については、「実施している、または検討中」と回答した企業は全体の59.5%、「非実施、検討していない」と回答した企業は全体の40.5%となり、約6割の中小企業が何らかの形でIT導入・検討を実施または検討している結果となった。

 ITの導入の実施項目について、新型コロナの影響の前後で特に変化のあった項目は、営業部門の「テレワーク・Web会議システム」の導入で、IT導入を実施・検討している企業の63.2%(「コロナ影響前から実施」16.0%)が実施。次いで回答比率の高い、「財務会計のデジタル化」では、コロナの影響で実施の31.0%に対し、コロナ影響前から実施の回答比率が52.8%とより高く、コロナ影響にかかわらず中小企業で導入比率が高い。

 IT導入の実施項目について、特に新型コロナの影響後の上位項目である営業部門の「テレワーク・Web会議システム」、総務経理部門の「財務会計のデジタル化」、「書面のデジタル化」について、業種別、売上規模別の導入進捗状況を確認すると、 業種別では「情報通信業」、「電気機器」、「化学」の順に高水準となっており、売上規模別では売上規模が大きいほど、実施比率が高い。

 総務経理部門の「財務会計のデジタル化」について、業種別では、「木材・木製品」(42.3%)、「輸送用機器」(39.7%)、「繊維」(39.5%)と製造業の一部で高い割合で実施されている。また、総務経理部門の「書面のデジタル化」について、業種別では、「不動産業・物品賃貸業」の実施比率が43.5%と高く、次いで「繊維」(34.9%)、「木材・木製品」(37.8%)、「その他製造業」(27.8%)の順となっている。

 ITの導入活用を実施・検討していない企業がIT導入の制約・ネックとなっている項目(複数回答)は、「人材の不足」(43.8%)、「社内の体制や仕組みが不十分」(33.8%)、投資費用(含ランニングコスト)(31.3%)の順。2017年7月調査と比べ、「費用対効果」、「効果が不明」、「セキュリティ」等の項目での回答比率が大幅に低下。中小企業におけるIT導入による効果についての認識やセキュリティ面での理解の広がりがうかがえる。

 同調査結果は↓

中小企業のIT導入・活用状況に関する調査 (shokochukin.co.jp)