宿泊業者の倒産件数、過去最高の前年度比66.7%増

 帝国データバンクがこのほど発表した「宿泊業者の倒産動向調査」結果によると、2020年度(2020年4月~2021年3月)の宿泊業者の倒産件数は前年度比 66.7%増の125件となり、増加率が過去最高となったことが分かった。倒産件数の推移をみると、リーマン・ショックの影響を受けた2008年度(131件)、東日本大震災後の2011年度(130件)に次いで過去3番目に多い件数だった。

 新型コロナウイルスの影響で、インバウント需要が激減。緊急事態宣言の発出や外出自粛の影響により2020年度上半期の時点ですでに73件発生しており、前年度(75件)の倒産件数に差し迫っていた。しかし、下半期は「Go To トラベル」や雇用調整助成金など支援策が奏功し、52件にとどまった。また2020年度に倒産した125件のうち、新型コロナウイルスの影響による倒産は72件にのぼり、全体の57.6%を占めた。

 負債総額は前年度比10.9%増となる863億6600万円となった。負債トップは、関西や北海道でリゾートホテル事業を展開していた「WBFホテル&リゾーツ(株)」(大阪市北区、民事再生法、負債約160億円)となり、関西屈指の設備を誇るリゾートホテル「ロイヤルオークホテルスパ&ガーデンズ」運営の「(株)ロイヤルオークリゾー」(滋賀県大津市、破産、負債約50億円)が続いた。

 業態別の内訳では、2020年度は「ホテル・旅館」(117件)が最多、前年度比1.7倍増となった。宿泊業は設備投資費用や人件費が嵩み、多額の有利子負債を抱える業者が多く、インバウンドや東京五輪に向けて新規開業や施設の改修を行っていた宿泊施設は大打撃を受けた。コロナ禍で海外からの訪日外国人旅行客が激減し、緊急事態宣言後に宿泊予約のキャンセルが相次ぎ施設の休業を余儀なくされ、経営が立ち行かなくなったケースが目立つ。

 2020年度はデザイナーズカプセルホテル「ファーストキャビン」運営の「(株)ファーストキャビン」(東京都千代田区、破産、負債約11億3000万円)グループの経営破たんが「簡易宿所」が増加した要因となった。また従来であれば、スポンサーやM&A(合併・買収)で再建できた可能性がある宿泊業者においても新型コロナウイルスの長期化でスポンサーが見つからず、倒産を余儀なくされたケースもあった。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p210405.html