帝国データバンクがこのほど発表した「2021年度の業績見通しに関する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1261社)によると、2021年度の業績見通しは、「増収増益」と回答した企業は27.4%となり、新型コロナの影響が拡がり始めていた前回調査(2020年3月)の2020年度見通しから13.9ポイント増加した。一方、「減収減益」は同18.4ポイント減の 26.0%と半減し、「増収増益」と「減収減益」が拮抗する結果となった。
業種別でみると、「増収増益」では自動車・同部品関連の「輸送用機械・器具製造」が40.4%でトップ。次いで、「飲食店」(39.0%)、「放送」(37.5%)、「娯楽サービス」(37.3%)などが上位に並んだ。一方、「減収減益」では2020年度に活況な内食需要によって好調だった総合スーパーなどを含む「各種商品小売」が38.1%で最も高い。また、「繊維・繊維製品・服飾品製造」(37.7%)、「建設」(35.8%)などが上位となった。
2021年度の業績見通しを上振れさせる材料(複数回答)は、新型コロナなどの「感染症の収束」が45.6%でトップ。また「個人消費の回復」(42.9%)は、前回調査より8.1ポイント増加。次いで、「公共事業の増加」(20.9%)、財政・金融政策や成長戦略、規制緩和などの「経済政策の拡大」(18.2%)、「中国経済の成長」(14.9%)、「米国経済の成長」(14.0%)が続き、個人消費の回復を上振れ材料と考える企業の増加が目立っている。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、国内景気や企業活動にさまざまな影響を及ぼした。そうしたなか企業の資金繰りに対しては、2020年3月から始まった政府系金融機関による実質無利子・無担保融資を皮切りに、同年5月には民間金融機関も対応を進めた。さらに、2021年3月には金融庁が新型コロナ関連融資の返済猶予対応を金融機関に要請するなど、資金繰り支援は現在も継続している。
そこで、同調査を実施した2021年3月時点の資金繰り状況を尋ねたところ、「楽である」と感じている企業の合計は43.2%。「どちらでもない」は40.6%で同じく4割台となり、「苦しい」は 13.6%だった。資金繰りが「苦しい」と感じている企業を業種別にみると、「旅館・ホテル」が40.6%で最も高く、次いで、「娯楽サービス」が35.8%、「飲食店」が27.1%と高くなっている。
同調査結果は↓